2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNA制御による組織の領域化メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
21112506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小嶋 徹也 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (80262153)
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Keywords | 発生・分化 / 発現制御 / 転写後調節 / RNA / 付属肢 |
Research Abstract |
真核多細胞生物の発生過程では、組織の細胞数や形態が時々刻々と変化する中で、領域特異的転写因子のダイナミックな発現制御により、組織がそれぞれ性質の異なるいくつかの部分に明確かつ正確に領域化される。 我々は、ショウジョウバエ成虫肢の形成過程における領域化の過程で一過的かつ領域特異的に発現するZnフィンガー型転写因子をコードするrotund(rn)の発現が、プロモーター活性の制御ではなく、mRNAに対する時期・領域特異的な何らかの制御によって、発生後期に抑制されることを見出した。rn mRNAの発現抑制に関わるrn自身の必須配列を同定するため、GFPをコードするDNAにrnのmRNAに対応するDNAをさまざまに断片化したものをさまざまな組み合わせで連結した融合遺伝子を構築し、ショウジョウバエに導入して強制発現させることで、それら融合遺伝子のmRNAの挙動を調べた。しかしながら、どの断片をどのように連結した場合でも、融合遺伝子のmRNAの抑制はみられなかった。驚いたことに、GFPをコードするDNAの下流にrn mRNAの全長に対応するDNAをつないだ融合遺伝子についても、mRNAの抑制は見られなかった。この融合遺伝子では、GFPは翻訳されるがrn部分は翻訳されない。rnが翻訳される条件では、同様の強制発現系で、rn mRNAの抑制がみられることから、rnのmRNAの抑制には、Rnタンパク質自身が必要であると考えられる。 今後、mRNA制御におけるrn自身の役割の解析などを進めることにより、組織の領域化過程におけるRNA制御の役割を分子レベルで理解することで、RNA制御および組織の領域化メカニズムの両方に、今まで知られていない新しい知見を提供できると期待される。
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