2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質スプライシングをうけるHAC1 mRNAは品質管理機構をどう回避するか?
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
21112508
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (60212312)
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Keywords | mRNA / 品質管理 / 小胞体ストレス / Non-sense mediated decay / No-go decay / HACl / tRNA ligase / 出芽酵母 |
Research Abstract |
細胞を構成する様々な生体高分子を正確に合成することは生命の維持に必須であり、こうした生体高分子の「品質管理システム」の存在が近年明らかとなってきた。mRNAについては、成熟化過程で生じうる異常mRNAを排除するために、未成熟終止コドンを持つmRNAを排除するNMDや、リボゾームがmRNA上で停滞した際にこれを排除するNGDなどの品質管理機構が存在する。他方、一部のタンパク質の合成時に翻訳が一時停止することで、発現制御、局在化等を達成する例が知られている。 酵母のHACl^u mRNAは通常翻訳停止状態でポリソーム上にあり、見かけ上、上記NGDの基質となりうるが、実際には安定で、NGD関連因子であるDom34や、細胞質のmRNA分解因子Ski2、Xrn1の欠失株で安定化されない。こうしたHACl^u mRNAのNGD回避をより詳細に解析するために、HACl ORFのほとんどをGFP遺伝子に置き換えたレポーター系で詳細な解析を行った。その結果、HAClの5'および3'UTRにRNA品質管理回避に必要なcis因子があること、これらを持てば強固なステムループを導入して翻訳を停止させてもNGDが回避されること等が明らかとなった。他方、HACl翻訳制御の解析において、スプライシング因子であるtRNA ligaseをシロイヌナズナ由来のもの(AtRlg1)で置き換えた酵母では、スプライシングで切り出されたHAClイントロンがAtRlg1により環化して安定化することも、HACl^i mRNAの翻訳活性化欠損の一因であることを見出した。さらに、HACl5'UTRには、Rlg1依存の翻訳制御に関わるcis因子が存在し、スプライシング非依存かつ小胞体ストレス依存に翻訳効率を数倍程度上昇させることが明らかとなった。
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