2009 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物のRNA制御と環境応答機構に関する分子生物学的解析
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
21112521
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平山 隆志 The Institute of Physical and Chemical Research, 中野生体膜研究室, 専任研究員 (10228819)
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Keywords | 植物ホルモン / polyA specific ribonuclease / polyA polymerase / シロイヌナズナ / アブシジン酸 / サリチル酸 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
シロイヌナズナのpolyA特異的RNA分解酵素(PARN)をコードするAHG2遺伝子の発現低下変異ahg2-1は、環境ストレス応答に深く関わる植物ホルモンアブシジン酸およびサリチル酸の応答の更新を誘導する。このAHGG2の機能およびahg2-1が及ぼす影響を理解する為にahg2-1の抑制変異株ahgs1を分離し、その原因遺伝子がpolyAポリメラーゼをコードすることを明らかにしてきた。本年度は、ahg2-1変異株の網羅的転写物解析、AHG2やAGS1の細胞内局在、ags1がAHG2の破壊株を相補するかどうかなどの解析を行った。その結果、ahg2-1では、多くの遺伝子の発現の増減が認められたが、そのパターンは、これまであまり報告がないものであることが判明した。また、ミトコンドリアのゲノムにコードされる遺伝子の発現が上昇していた。さらに、ミトコンドリアで機能するAtPHB3の破壊株と同様の遺伝子発現変動が認められた。これらのことからahg2-1では、何らかの理由でミトコンドリアの機能に異常があることが示唆された。AtPHB3の破壊株を確立し、表現型を調べたところ、ahg2-1のそれと良く類似していることが示され、先の考えを支持するものであった。AHG2-GFP, AGS1-GFP組み換え遺伝子を構築し、シロイヌナズナ、プロトプラストで発現させ、これらの蛋白質の細胞内局在を調査したところ、AHG2は細胞質に、時には顆粒として存在することが認められた。一方AGS1-GFPは核小体に特異的に局在することが明らかになった。これらの因子がミトコンドリアの機能発現に関わっているとすると、間接的ということになる。さらに、遺伝学的解析によりags1-1が致死性のahg2-2破壊変異を相補することも実証した。以上の結果から、AGS1とAHG2が標的脳AのpolyA鎖を調節することにより、ストレス応答に深く関わる細胞機能を調節していることが示された。
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