2009 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβペプチドの産生亢進を誘起する細胞内ロジスティクス攪乱機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
21113504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 昌之 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50212254)
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 蛋白質 / 脳神経疾患 / Localizomics |
Research Abstract |
われわれは、先行研究によりリソソーム酵素の輸送に関わるcation-independent mannose-6-phosphate受容体(CI-M6PR)の細胞内局在の撹乱(=病態)を誘起する「キナーゼ(群)」を、ヒトキナーゼsiRNAライブラリーから網羅的に可視化スクリーニングしている。本年度は、そのうちの一つGSK3βに注目し、その基質分子で、かつ、アルツハイマー病態に関わるタンパク質を、バイオインフォマティクス技術を駆使して推定した。その候補タンパク質の一つである微小管結合タンパク質CLASP2は、そのノックダウン細胞ではアルツハイマー病の原因因子であるアミロイドβペプチド(Aβ)の産生を亢進させることを明らかにした。また、その原因の一つとして、Aβのプロセッシング酵素であるBACE1の細胞内輸送が撹乱され、エンドソーム内で基質であるAβ前駆ペプチド(APP)とBACE1が共局在化してAPP→Aβへのプロセッシングが活性化されるというモデルを提唱できた。加えて、CLASP2の活性低下やそのノックダウンにより、ゴルジ体由来の微小管中心(ゴルジ体由来のmicrotubule organizing center, GAMTOC)の形成が撹乱されることも確認できた。これらの結果は、GAMTOCがポストゴルジ体の小胞輸送(CI-M6PR、APP、BACE1等の輸送)を制御し、その制御撹乱機構とアルツハイマー病態発現が深く関わっている可能性を強く示唆するものである。
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