2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪滴近傍の物質輸送機構とその破綻
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
21113508
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50115929)
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Keywords | 脂肪滴 / オートファジー / リソソーム |
Research Abstract |
脂肪滴は、効率の良いエネルギー源である脂質エステルを貯蔵するオルガネラである。蓄積された脂質エステルの消化は細胞質のリパーゼで行われるが、オートファジーが関与する可能性も報告されている。それらに関わる脂肪滴、脂質エステル、脂肪滴関連蛋白質の輸送機構については不明の点が多い。今回の研究では脂肪滴分解とオートファジーの関連について検討した。 野生型マウス胎児線維芽細胞(MEF)およびオートファジー不能細胞であるAtg5(-/-)MEFを400μMオレイン酸存在下で12時間培養した後、オレイン酸非存在下で7時間培養して脂肪滴減少の度合いを観察した。野生型MEFではオレイン酸非存在下の培養により、脂肪滴は急激に減少した。これに比較して、Atg5(-/-)MEFおよびRNAiによりAtg5 knockdownを行った野生型MEFでは、脂肪滴の分解が抑制されていた。また、野生型MEFでの脂肪滴減少は、リソソームを阻害しても抑制されなかったが、DEUP処理により抑制された。脂肪滴がリソソーム中に取り込まれる像は、いずれの時点でもほとんど観察されなかった。 今回の結果は脂肪滴の分解にオートファジーが関与することを示すが、リソソーム阻害の結果や脂肪滴のリソソームへの取り込みが見られなかったことは、単純に脂肪滴がオートファゴソームに取り込まれ、処理されるのではないことを示唆する。オートファジーの抑制が、脂質代謝や脂肪滴に関連する蛋白質に影響を与え、脂肪滴分解を遅延させている可能性が考えられる。
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