2010 Fiscal Year Annual Research Report
ロジスティクスの需要に応答した小胞輸送因子の発現調節機構
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
21113511
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉田 秀郎 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (60378528)
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Keywords | ストレス応答 / 転写制御 / 転写因子 / ゴルジ体 / 小胞体 / ゴルジ体ストレス / 小胞体ストレス / 糖鎖 |
Research Abstract |
ゴルジ体は細胞内ロジスティクスの中枢であり、小胞輸送の高度な制御が行われている。小胞輸送によって運ばれるタンパク質も細胞の種類や状況によって刻々と変動しており、各方面へタンパク質を輸送する小胞輸送のキャパシティも需要に応じて増強されていると想像されるが、このような細胞の需要に応じた小胞輸送因子の発現制御機構についてはこれまでほとんど解析がされてこなかった。研究代表者は、阻害剤を用いてゴルジ体以降の小胞輸送能力を人為的に枯渇させた時に、小胞輸送因子の発現が補償的に誘導されることを見いだし、その分子機構を解析してきた。前年度までの解析によって、転写誘導を制御する新規のエンハンサー配列であるGASE (Golgi apparatus stress element)を同定し、GASEに結合する転写因子MLX及びTFE3を同定した。MLXを過剰発現すると小胞輸送因子遺伝子の発現が抑制され、TFE3を過剰発現すると小胞輸送因子遺伝子の発現が誘導されることも見いだしている。 本年度の解析によって、TFE3の発現を抑制すると小胞輸送因子遺伝子の転写誘導が阻害されることを見いだした。また、平常時にはTFE3はリン酸化されて細胞質に係留されているが、小胞輸送能力が枯渇するとTFE3は脱リン酸化されて核に移行し、小胞輸送因子遺伝子の転写を誘導することがわかった。以上の結果から、TFE3が需要に応じた小胞輸送因子の発現制御機構の主要な制御因子であると結論した。
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