2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポロキナーゼによるインテグリントラフィッキング制御とその破綻
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
21113513
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊島 文子 Kyoto University, ウイルス研究所, 教授 (40397576)
|
Keywords | 小胞輸送 / インテグリン / ポロキナーゼ |
Research Abstract |
インテグリンは、細胞外マトリックスに結合する膜貫通型タンパク質であり、細胞増殖、分化、細胞運動など様々な生命現象に必須の役割を果たす。インテグリンは、低分子量Gタンパク質のRabファミリー及びArfファミリー依存的に、エンドサイトーシスとエクソサイトーシスを介してリサイクルされ、このリサイクリング機構は、細胞運動やがんの浸潤に重要な役割を果たすことが知られている。最近、インテグリンは分裂期においても、方向性を持った細胞内トラフィッキング制御を受けており、この制御機構は細胞質分裂の遂行に必要であることが報告された。そこで我々は、細胞分裂の進行に必須のキナーゼであるPlk1が、分裂期におけるインテグリントラフィッキングを制御する可能性を検討した。その結果、Plk特異的阻害剤GW843682X処理や、RNA干渉法を用いたPlk1のノックダウンにより、インテグリンを含む小胞が分裂期の細胞の細胞質内に蓄積する現象を観察した。このことは、Plk1が分裂期のインテグリントラフィッキングを制御する可能性を示唆している。しかしながら、Plk特異的阻害剤で処理した細胞では、間期の細胞においてもインテグリン小胞の細胞質内での蓄積が認められた。Plk1のノックアウト細胞では、間期でのインテグリン小胞の蓄積は認められないことから、他のPlkファミリーが間期でのインテグリントラフィッキングを制御する可能性が示唆された。PlkファミリーのうちGW843682X感受性のPlk3をsiRNAでノックダウンしたところ、間期の細胞においてインテグリン小胞の蓄積が観察されたことから、Plk3が間期インテグリン輸送を制御する可能性が示唆された。
|