2009 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんにおける神経伝達物質放出機構の素過程の異常の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
21113518
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 泰憲 Kobe University, 医学研究科, 助教 (30467659)
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Keywords | 神経伝達物質 / 小胞融合 / SNARE / トモシン |
Research Abstract |
てんかんの原因のひとつとして、シナプス伝達の亢進が知られている。従って神経伝達物質の放出機構を明らかにすることは、てんかんの仕組みを明らかにする上で大変重要である。私どもは、SNARE制御タンパク質トモシンに着目して神経伝達物質放出の分子機構の解明に取り組み、これまでにトモシンが神経伝達に抑制的に働くことを明らかにしている。トモシンのN末側WD40リピート領域は、シンタキシン-1とSNAP-25のVAMP2との結合を促進し、SNARE複合体の多量体化を促進する。トモシンのC末端VAMP様領域はシンタキシン-1、SNAP-25と結合し、SNARE複合体に似た構造の複合体(トモシン複合体)を形成し、SNARE複合体の形成を阻害する。トモシンは、N末端側のWD40リピート領域によるSNARE複合体の形成と多量体化の促進とC末端側のVAMP様領域によるSNARE複合体形成の抑制の二つの作用により、強力に神経伝達物質の放出を抑制する。 本年度は、上述のトモシンの阻害活性がどのような分子機構で調節されているかを詳細に検討した。トモシンのTail領域はN末端WD40リピート領域とC末端VAMP様領域の両方に結合した。Tail領域のC末端VAMP様領域への結合は、トモシン複合体の形成を抑制し、SNARE複合体の形成阻害を減弱した。この効果はTail領域がN末端WD40リピート領域に結合することにより解除した。これらの結果から、トモシンはTail領域とN末端WD40リピート領域、C末端VAMP様領域間の分子内結合状態を切り替えることでダイナミックに構造を変化させ、神経伝達物質の放出を調節していることが明らかになった。 このように本年度は、トモシンの作用機構について当初の計画以上の成果をあげることができた。
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Research Products
(4 results)