| Research Abstract |
シロイヌナズナの表皮細胞に細長い小胞体由来の構造物が出来ることを発見し,ERボディと名付けた.ERボディは傷害により誘導されることから,虫害や病害に対する防御のための構造物であると考えられた.これまでに,転写制御因子であるNAI1,ERボディの成分である新規タンパク質,NAI2とβグルコシダーゼ,PYK10がERボディ形成に必要であることを明らかにしてきたが,ERボディの具体的な役割は不明であった.そこで平成21年度はERボディの成分をさらに詳しく調べるとともに,ERボディの機能を中心に解析を行った.まず,ERボディの膜タンパク質の成分を明らかにすることを試みた.データベースを用いた共発現解析により,PYK10やNAI2遺伝子と発現パターンがよく一致する遺伝子membrane of ER body 1(MEB1),MEB2に注目し,MEB1とMEB2の局在を蛍光タンパク質との融合タンパク質をもちいて調べた.その結果,MEB1,MEB2はERボディの膜に局在することが明らかになった.さらに,MEB1およびMEB2遺伝子を欠損したシロイヌナズナ変異体を作成し,その表現型を調べた.その結果,meb1 meb2二重変異体では,ERボディは欠損しないが,ある種の細菌および糸状菌に対する抵抗性が弱まることが明らかとなった.このことから,MEB1およびMEB2はERボディの形成には必要ではないがERボディの機能に必要であることが明らかとなった.
|
