2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核における遺伝情報の収納と染色体代謝の共役機構
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
21114505
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松浦 彰 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (10272692)
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Keywords | 核膜 / ラミン / 早期老化症 / 染色体代謝 / 細胞老化 |
Research Abstract |
真核細胞の遺伝情報はその貯蔵のためのオルガネラである細胞核に内包されている。核膜の裏打ち構造を構成するラミンの異常は、ラミノパシーと呼ばれる多面的な病態を引き起こすことが知られている。本研究は、そのうちのひとつであるプロジェリア症(Hutchinson-Gilford progeria)の原因となる変異ラミンAタンパク質(プロジェリン)の発現誘導系を作成し、核構造と染色体代謝の関係を明らかにすることを目的とした。 まず、癌細胞株およびTERT(テロメラーゼ触媒サブユニット構造遺伝子)を導入した正常繊維芽細胞に、リガンド依存的なプロジェリン発現コンストラクトを導入し、遺伝子安定導入株を得た。リガンド添加量依存的にプロジェリン発現量は増加し、添加後48時間でその発現は最大となった。また、繊維芽細胞においては、リガンド依存的に老化マーカーSA-β-galの発現細胞の割合が有意に増加することが観察された。さらに、遺伝子導入に用いるウイルスベクターのプロモーター領域の改変により、プロジェリンのより高レベルでの発現誘導が可能となり、従来のものより短時間で核構造異常を誘導することができるようになった。今後、細胞内に染色体代謝の状態を示す種々のマーカータンパク質を発現させ、ラミン異常から老化表現型発現に至る過程における、ゲノム(染色体)レベルの異常の発生要因を生細胞ライブイメージングにより詳細に検討する予定である。
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