2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核における遺伝情報の収納と染色体代謝の共役機構
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
21114505
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松浦 彰 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 教授 (10272692)
|
Keywords | 細胞老化 / 核膜 / ラミンA / プロジェリア / テロメア / テロメラーゼ / 細胞周期 |
Research Abstract |
核膜は、真核細胞の遺伝情報を内包する細胞核の重要な構成成分である。核膜は核全体の構造としてだけではなく、核内タンパク質との相互作用の場としても機能することが知られている。核膜の裏打ち構造を構成するラミンの異常は、ラミノパシーと呼ばれる多面的な病態を引き起こす。本研究は、そのうちのひとつであるプロジェリア症(Hutchinson-Gilford progeria)の原因となる変異ラミンAタンパク質(プロジェリン)の発現誘導系を作成し、核構造と染色体代謝の関係を明らかにすることを目的とした。 昨年度までに、TERT(テロメラーゼ触媒サブユニット構造遺伝子)を導入した正常繊維芽細胞に、リガンド依存的なプロジェリン発現コンストラクトを導入した遺伝子安定発現株を樹立している。本年度はプロジェリンの更なる発現を可能にするベクターを用いて系を改良し、プロジェリン発現による細胞内変化を詳細に解析した。その結果、細胞増殖能の低下に先立ち、細胞内のクロマチン動態、特にヒストンの修飾状態の変化が観察された。同時に、細胞周期のS期の細胞の蓄積とおよびsubG1画分の増加が観察された。このことから、プロジェリンが誘導する核膜構造変化に伴う多面的細胞異常を再現することが可能となった。今後はそれぞれの変化の因果関係を生細胞イメージングにより追跡しつつ、細胞周期関連の種々のマーカータンパク質の変化からそのメカニズムに迫る予定である。
|
Research Products
(11 results)