2009 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚発生における遺伝情報場への分子輸送の時空間制御
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
21114511
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安原 徳子 Osaka University, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (90423152)
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Keywords | 核-細胞質間分子輸送 / 初期胚発生 / importinα / 情報伝達制御 |
Research Abstract |
真核細胞が内外の環境変化に応じて、遺伝情報に基づいた適切な反応系を働かせるには核-細胞質間分子輸送が欠かせない。これまでに、特定の蛋白質輸送受容体による核-細胞質間輸送システムが、転写因子の輸送調節を通し、細胞分化に重要な役割を果たすことが示された。一方、動物胚の発生の局面では、胚の極性の形成や組織の分化の仕組みなど、解明されていない事象が多く残されている。機能性蛋白質の輸送制御システムが、未解明の発生の仕組みの一部を担っている可能性が十分にあると考えられる。そこで、本研究では輸送受容体importinαファミリーに焦点を絞り、認識される積み荷蛋白質を質量分析によって半網羅的・定量的に解析し、特に転写因子やエピジェネティクス、細胞周期関連因子についてその輸送制御と機能の解析を行う。これにより、核-細胞質間輸送による遺伝情報場への情報伝達制御を明らかにし、発生・分化の調節機構のメカニズムに迫る。本年度はマウス胚での輸送受容体の発現パターンとその意義の解明、マウス胚の抽出画分の調整方法の確立を行った。その結果、特に、原始外胚葉や原始外胚葉を取りまく臟側内胚葉の形成過程でimportinαファミリーの発現部位が限局され、この発現を乱すと胚葉形成に影響が出ることが分かった。また、胚性幹細胞(ES細胞)を用いた実験から、importinαファミリーは分化を促進する特定の転写因子の核輸送を阻害して、未分化性を維持することを明らかにした。これらの結果をふまえ、原始外胚葉と臟側内胚葉の形成期のマウス胚を入手し、抽出画分の調整方法を検討した。現在、最適な条件を決定し、積み荷蛋白質の精製を行っている。
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Research Products
(5 results)