2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNAポリメラーゼIIによる転写の時空間場
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
21114512
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 宏 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (30241392)
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Keywords | RNAポリメラーゼ / 転写制御 / 生細胞観察 / 細胞核構造 / リン酸化 / 遺伝子発現 / クロマチン / ヒストン |
Research Abstract |
遺伝情報発現の出発点である転写の場が、どのように制御され、構築されるのかについての基本的問題は解明されていない。そこで、特異的抗体を用いてRNAポリメラーゼIIを生きた細胞で可視化し、そのダイナミクスを明らかにすることを目的として、本研究を行った。RNAポリメラーゼII最大サブユニットC末端繰り返しドメインには複数のリン酸化部位があり、転写開始の際にSer5が、転写伸長の際にはSer2がリン酸化される。これらのリン酸化Serを特異的に認識するモノクローナル抗体の作製を行った。最初に得られたリン酸化Ser5特異的抗体からFab断片を調製したのち、蛍光色素で標識し、HeLa細胞に導入した結果、多数の細かなfociが観察された。このリン酸化Ser5特異的Fabの分布はアセチル化ヒストンH3K9と類似していたほか、Cajalボディと思われる構造に特に集積していた。一方、ヒストンH2B-mRFPが濃縮されるヘテロクロマチンへの局在はほとんど見られなかった。Fabを導入した細胞は、導入していない細胞と同様に分裂、増殖することから、細胞機能に影響を与えずにリン酸化型RNAポリメラーゼIIを検出することが可能であると考えられた。また、転写伸長型のRNAポリメラーゼIIに見られるリン酸化Ser2に特異的抗体の作製を試み、いくつかのクローンが得られた。Ser2のリン酸化酵素であるP-TEFbの阻害剤であるDRBで細胞を処理すると、これらの抗体の反応性が速やかに低下したことなどから、その特異性が確認されている。
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