2009 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメアでのDNA相同組換えの分子機構と生理的意義の解明
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
21114513
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 拓郎 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (20324866)
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Keywords | 分子遺伝学 / セントロメア / DNA相同組換え / 分裂酵母 / リピート配列 / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / CENP-A |
Research Abstract |
セントロメアは染色体の正確な分配に必須な領域である。クロマチン構造の特徴として、セントロメアはCENP-A蛋白を含むヌクレオソームが存在するキネトコア領域とヒストンH3のK9のメチル化が起こるヘテロクロマチン領域とにより構成されることが知られている。一方、多くの生物種に共通するセントロメアのDNA配列上の特徴として、リピート配列の存在が挙げられる。しかし、その生理的意義は明らかとなっていない。興味深いことに、DNA相同組換え蛋白Rad51がセントロメアの機能に重要な役割を果たすことが示唆されている。そこで、分裂酵母を用いてセントロメアのキネトコア領域に存在するリピート間でのDNA組換えについて解析を行った。近接するヘテロクロマチン構造が組換えにどのような影響を与えるのかを知るために、H3K9のメチル化酵素Clr4の遺伝子破壊株と野生株を用いて自然発生的に起こるセントロメア組換えを測定した。その結果、clr4変異株ではセントロメア・リピート間での組換えが野生株に比べて高頻度に起こることが分かった。分裂酵母ではヘテロクロマチン構造により姉妹染色体の接着に必要なコヒーシン蛋白がセントロメアにリクルートされることが知られている。そこで、コヒーシン蛋白の染色体結合に必要なMis4/Scc2の温度感受性変異株を用いてセントロメア・リピート間の組換えを測定した。その結果、mis4変異によっても組換え頻度が上昇することが分かった。これらの結果から、ヘテロクロマチン構造により誘導される姉妹染色体接着はセントロメア・リピート間の組換えが過剰に起きてしまうことを防ぐ役割を果たしているのではないかと考えられる。
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