2009 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegans行動制御・解析システムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
21115509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 幸太郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特任准教授 (20370116)
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Keywords | 神経機能 / 可塑性 / 行動 / 光遺伝学 |
Research Abstract |
複雑なネットワーク構造を持つ脳・神経系の活動は、主として個体の行動に反映される。本研究では、光刺激を用いてモデル動物・線虫C.elegansの複数個体の神経細胞の活動(膜電位変化)を同時に制御し、その行動への影響を詳細に記録・解析できるシステムを構築することを目標としている。光駆動型のイオンチャネルやイオンポンプを用いて細胞の膜電位を光刺激依存的に制御する光遺伝学的解析手法は、脳・神経系の動作原理を明らかにするための必須のツールになりつつある。しかし、光駆動型イオンチャネル/イオンポンプの活性化には強力な光照射が必要であると考えられており、線虫C.elegansを用いた場合では顕微鏡上という限られた実験系でしか使用できない。これにより、C.elegansを常に視野の中心に維持するための制御システムが必要である、また一度に1匹のC.elegansの行動しか追跡できない、などという制限が存在していた。本研究では、C.elegans行動の一般的なアッセイ条件(9cmプレートを使用)での光遺伝学による神経活動制御が可能として、かつ大量の個体の迅速な行動測定が可能とするシステムの開発を目標としている。この新たな照明系を研究代表者がこれまでに開発したC.elegans行動解析システムと組合わせて「行動制御・解析システム」とする。H21年度は、行動制御用の環状LEDの開発を行った。まず、新たな環状LEDを作成し、このLEDが設計通りの十分な光強度を持つ事を確認した。次に、従来の光駆動型イオンチャネルChRよりも光感受性の高い改変型ChR(東北大学・八尾寛教授との共同研究)をC.elegansの体壁筋で発現させたところ、環状LEDからの光刺激依存的な行動の阻害が観察された。この行動の阻害は、改変型ChRを介した脱分極によって引き起こされたと考えられ、今回開発した環状LEDを用いればC.elegansで発現させた改変型ChRを活性化できる事が強く示唆された。
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