2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエのアミノ酸味覚受容と摂食行動可塑性の行動分子遺伝学
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
21115512
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷村 禎一 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (20142010)
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Keywords | ショウジョウバエ / 味覚 / アミノ酸 / 学習 / 可塑性 / 糖 / 栄養価 / 産卵 |
Research Abstract |
生物の行動は、プログラムされた本能的側面と、経験や環境により適応的に変化できる可塑的な側面から成り立っている。これまでの昆虫の行動の研究は、固定化された反射、本能行動が中心であり、行動の可塑性はあまり注目されてこなかった。生物は自己の維持、成長、増殖のために外界から栄養を取り込む必要がある。生物が栄養となる食物を識別する上で味覚感覚は重要であるが、生物は食物の栄養価をどのように感知しているのであろうか。ショウジョウバエの成虫の雌は生涯に個体当たり3000個もの卵を生むが、そのために多量のアミノ酸の摂取が必要とされる。実際、糖だけを含む培地で飼育すると雌は産卵をほとんどしない。ショウジョウバエがアミノ酸をどのように感知しているかを調べるために、食用色素を利用したtwo-choice preference test、CAFE assay、吻伸展反射、唇弁感覚子からの電気生理学的記録によって研究を行った。行動および電気生理学による実験により口器にある唇弁と肢先端の附節にはアミノ酸に応答する感覚子がないことがわかった。しかし、ショウジョウバエはアミノ酸溶液を識別して摂食し、さらにアミノ酸欠乏状態に置かれた交尾後の雌は、アミノ酸の摂食量が増加することがわかった。今後、体内のアミノ酸の味覚センサーの同定に加えて体内の血リンパのアミノ酸濃度をモニターし必要に応じて摂食量を制御する神経機構を解明する。
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