2009 Fiscal Year Annual Research Report
「好き・嫌い・記憶」を制御するゼブラフィッシュ嗅覚神経系のシステム分子行動学
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
21115520
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉原 良浩 The Institute of Physical and Chemical Research, シナプス分子機構研究チーム, シニア・チームリ一ダー (20220717)
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Keywords | 嗅覚系 / 神経回路 / ゼブラフィッシュ / 誘引行動 / 忌避行動 / ジーントラップ法 / 遺伝学的神経伝達遮断法 / 嗅球 |
Research Abstract |
嗅覚系は物体から発せされる匂い分子を受容し、その情報を鼻から脳へと伝え、匂いのイメージを脳内に創造・記憶する神経システムである。また嗅覚系は「快・不快」あるいは「好き・嫌い」と表現される情動、さらには「記憶」と密接に関連した感覚システムでもある。本研究課題では、神経行動学・遺伝学・発生工学・神経解剖学・神経活動イメージングなど多様な実験手法を駆使できるモデル脊椎動物としてのゼブラフィッシュの利点を最大限に活用し、匂い入力から行動出力へと至る「好き・嫌い」さらには「記憶」の神経回路メカニズムの解明を目的とし、以下の4つの項目について解析を行った。(1)嗅覚系のニユーロンタイプ特異的GAL4発現トランスジエニツクゼブラフィッシュ系統の樹立。(2)蛍光可視化トレーサー・経シナプス性トレーサーを用いた嗅覚神経回路の解剖学的解析。(3)「好き・嫌い・記憶」の嗅覚情報を受容・伝達・処理するニユーロンの神経活動イメージング解析。(4)「好き・嫌い・記憶」の匂い入力から「誘引・逃避」などの行動出力へと至る嗅覚システムの行動学的解析。平成21年度においては特に、Tol2トランスボソン・ジーントラツプGAL4/UASシステムを利用して、嗅覚神経系の一部のニューロンにGAL4を発現する遺伝子トラップゼブラフィッシュ16系統を樹立した。さらに、アミノ酸への誘引行動(好き反応)を定量的かつ再現性良く解析できる行動実験システムを確立した。さらに行動実験と上記の様々なGAL4発現系統における遺伝学的神経伝違遮断技術を組み合わせることにより、アミノ酸への誘引反応を制御する一次嗅覚神経回路の実体を明らかにした(Koide et al. PNAS 2009)。
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