2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス支持細胞のニッチ形成能の性的可塑性
Publicly Offered Research
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
21116501
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 克晃 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30260326)
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Keywords | 卵胞上皮細胞 / 配偶子幹細胞 / ニッチ / 性分化 / マウス |
Research Abstract |
ヒトを含めた哺乳類では、オスのみに配偶子幹細胞GSCが存在し、オスのみでみられるセルトリ細胞がニッチの場を提供します。そのため、性腺のGSCを維持するニッチ形成能は、Y染色体上の精巣決定遺伝子Sryの下流のプログラムで制御されています。まず、1年目は、以下のように性分化初期の性腺の領域差の存在と精巣化のプログラムの進行を同調化する因子として、FGF9を同定しました。1:性分化初期において、性腺の中央部の存在が、前・後端でのセルトリ細胞分化因子であるSOX9の発現維持と精細管形成に必須である。2:中央部からの前・後端での精細管誘導能は、中央部領域から分泌される液性因子が寄与し、その液性因子の本体がFGF9である。3:性分化期において、FGF9は、雄特異的に中央部で高い発現を維持し、その発現開始直後に下流シグナルの活性化が性腺全体に波及する。4:FGFシグナルを抑制した場合、セルトリ細胞/精細管の形成は前・後端へと波及せず、中央部は精巣、前・後端部では卵巣構造(卵精巣)を示す。以上の結果は、性腺には前後軸に沿って機能的な領域差が存在し、中央部が両端部の精巣化を促進していることを初めて示したものです。近年、FGF9が、Nanos2の発現を上昇させることにより、配偶子幹細胞GSCへの分化誘導因子として機能することも判明しています。本結果は、性腺全体のニッチの場となる精細管の構築と生殖細胞の雄性(幹細胞)化を素早く行う時空間的な制御機序の一端を解明したものと考えられます。
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Research Products
(5 results)