2009 Fiscal Year Annual Research Report
体外栄養源による配偶子幹細胞の発生進行制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
21116502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 征光 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20422389)
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Keywords | 配偶子幹細胞 / インスリン / AMPK / 線虫 / 遺伝学 |
Research Abstract |
線虫(C.elegans)の生殖腺前駆体において、配偶子幹細胞とニッチ細胞の体外栄養源に応答する機構を分子レベルで解明することを目標とし、以下の成果を得た。1)insulin/IGF signaling (IIS)経路を負に制御するptenやampk変異体では飢餓条件下にも関わらず配偶子幹細胞を作り出す生殖幹細胞が異常増殖する。それらの変異体における異常増殖にTORC1経路の因子群であるTOR,RAPTOR,Rheb,RagA,RagCの活性が必須であることを見出した。このことからptenやampk遺伝子の共通の下流因子として、TORC1が機能していることが示唆された。さらに、pten-ampk-TORC1経路が細胞自律的、すなわち生殖幹細胞内で機能することを示唆する知見を得た。2)体外栄養源として必須アミノ酸とエタノールあるいはエタノールの代わりに脂肪酸混合物を添加することにより生殖幹細胞の休眠を解除する知見を見出した。TORC1は、インスリン/IGFなどの成長因子とアミノ酸によって活性化することが他の動物の実験系で知られており、1)で示唆されたTORC1の関与を裏付ける。3)上述したPTENやAMPK、及びTORC1の周辺で機能する新規因子を探索するべく遺伝学的スクリーニングを行った。RNAiスクリーニングではポリ(U)ポリメラーゼをコードするpup-2が単離された。また、EMSを用いたスクリーニングより、変異体(アリル)td89を得た。最近の知見では、pup-2は特定のマイクロRNAを負に制御する機能を有することが分かってきていることから、生殖幹細胞の休眠を促進するマイクロRNAが存在する可能性が示唆された。
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