2009 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素シグナル伝達を制御するC-S切断酵素
Publicly Offered Research
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
21117504
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
熊谷 嘉人 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00250100)
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Keywords | 親電子物質 / シグナル伝達 / 翻訳後修飾 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
親電子物質の標的分子として、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)が知られている。非細胞系において、1,2-NQはGAPDHに濃度依存的に共有結合して本触媒活性を阻害した。ところが、1,2-ナフトキノン(1,2-NQ)をヒト肺上皮由来A549細胞に曝露すると、複数の細胞内タンパク質と共有結合したが、GAPDHへの共有結合および細胞内GAPDH活性低下は全く観察されなかった。このことは、細胞内において、本タンパク質は1,2-NQとの共有結合を回避できることを示唆している。そこで、我々は2つの可能性を想定した。すなわち、1つはGAPDHは1,2-NQ還元酵素としての活性を有しており、分子内のシステイン残基と共有結合する前に、不活性な1,2-NQH_2に変換する。もう1つはGAPDHは1,2-NQに化学修飾を受けても、細胞内求核置換基を有するグルタチオン(GSH)を利用してトランスアルキル化を生じる。前者に関して、GAPDHはNADHを補酵素として1,2-NQを1,2-NQH_2(そのジアセチル誘導体として同定)に還元できることが明らかとなった。後者に関しては、GAPDHの1,2-NQ結合体を調製してGSHと反応した結果、1.2-NQの共有結合が減少して、代わりに1,2-NQのGSH結合体(このものは共有結合能無し)の生成が確認された。 以上より、細胞内タンパク質の中で、少なくとも解糖系の主役を演じるGAPDHは1,2-NQのような親電子物質を2電子還元することで共有結合を抑制することが示唆された。併せて、GAPDHは自身に共有結合した親電子物質に対してGSHを用いてトランスアルキル化することで自浄することも示された。
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Research Products
(8 results)