2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸代謝をエフェクターとする植物酸化ストレス応答細胞死の機構
Publicly Offered Research
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
21117505
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
川合 真紀 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10332595)
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Keywords | 活性酸素 / ストレス / 分子育種 / 植物生理学 / 脂質 |
Research Abstract |
植物は種々の環境ストレスを受けながら生育しているが,それらの多くは光合成の電子伝達を阻害し、植物細胞内に活性酸素種を発生させ、酸化ストレスをもたらすと位置づける事ができる。本研究では、生物界に保存された酸化ストレス誘導性細胞死の抑制因子として、単離、解析を進めてきたBax Inhibitor-1(BI-1)による植物細胞死制御機構に焦点を絞り,小胞体因子であるBI-1による脂肪酸合成酵素の活性化機構を中心に解明をおこなった。また、過酸化水素をはじめとする活性酸素シグナルを介した細胞死制御の分子機構について、生物種間で保存された機構と、植物特異的な機構を抽出し、活性酸素シグナルによる細胞の生死制御の実行機構解明を目的として解析を行った。 本年度は、特に小胞体膜上の細胞死制御複合体の構成と動態を解明するため、BI-1と小胞体膜タンパク質であるシトクロムb5(Cb5-3)との結合、及び、Fatty acid hydroxylase(FAH)との結合解析を行い、これらの相互作用を植物細胞内で検出することに成功した。これらの結果は、BI-1/Cb5-3/FAHという新規の3者間相互作用を示唆する結果であり、今後、BiFCやFRET、FRIMなどのバイオイメージングの手法を用いて、植物細胞内での動態解明を行う予定である。また、BI-1による酸化ストレス誘導性細胞死の抑制活性が低下する遺伝子欠損酵母株のスクリーニングにより、脂肪酸の伸長酵素であるelongaseがBI-1の機能に関与する可能性が示された。これらの結果により、BI-1が小胞体膜上で、複数の脂質代謝酵素の活性を制御する因子として機能し、植物細胞の酸化ストレス応答を制御している可能性が新たに示された。
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Research Products
(11 results)