2009 Fiscal Year Annual Research Report
Nucleoredoxinファミリーによる活性酸素応答機構
Publicly Offered Research
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
21117510
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
船戸 洋佑 Osaka University, 蛋白質研究所, 助教 (60505775)
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Keywords | NRX / Fli-I / TRX |
Research Abstract |
代表者は幹細胞分化制御や発がんに重要なWntシグナル伝達の新たな制御因子としてNRXを見つけ、NRXがDishevelled(Dvl)に結合してWntシグナル伝達を抑制すること、またその結合が過酸化水素などの活性酸素によって負に制御されていることを報告した。 NRXの未知の機能を同定すべく、FLAGタグ付きNRXの安定発現株を用いて免疫沈降法により結合蛋白質探索を行った。コントロールと差異のあるバンドを質量分析にかけたところ、複数の新規NRX結合因子候補が同定できた。中でも特に質量分析時のスコアが高かったFlightless-I(Fli-I)について、NRXとの結合を詳細に解析したところ、精製蛋白質同士の直接的な結合、加えて細胞内での内在性の複合体形成が観察できた。また、チオレドキシン(TRX)ファミリー蛋白質群の中で、NRXとその類縁蛋白質(RdCVF, C90rfl21)だけがFli-Iと複合体形成することをも見出した。Fli-Iはアクチン細胞骨格、転写、自然免疫など種々の現象との関連が報告されており、今後NRXがFli-Iを介してこれらWntシグナル経路とはことなる現象、シグナル伝達経路へと影響を及ぼしていることが明らかとなることが期待される。また、TRXファミリーは哺乳類では20種以上の因子を持つ大きな蛋白質ファミリーであるが、TRXなど一部を除いてその機能は殆ど明らかとなっていなかった。本年度の研究成果はNRXとその類縁蛋白質がFli-Iと結合するという共通の性質を持っていることが明らかとした。この結果は、機能未知の因子が多いTRXファミリー分子群の解析に大いに役立つものと考えられる。
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