2009 Fiscal Year Annual Research Report
小胞型ヌクレオチドトランスポーターのATP認識機構
Publicly Offered Research
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
21118514
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
表 弘志 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10273707)
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Keywords | 小胞型ヌクレオチドトランスポーター / VNUT / ATP認識機構 |
Research Abstract |
ATPは生体エネルギー分子として様々な生命現象に深く関わっている。LohmannによるATPの発見以来、ATPの物理学的諸性質とエネルギー利用の分子メカニズムの解明の重要性が認識されてきた。ATP加水分解エネルギーの利用者である蛋白質側から見ると、ATP結合の様式はその後のエネルギー利用の方法を決定する重要なファクターである。したがって、ATP結合様式を理解する事はATPからエネルギーを取り出す仕組みを理解する上で必須なステップである。本研究は、新規のATP結合タンパク質である小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)の解析を通して、蛋白質とATPの相互作用の全体像を理解し、生体内エネルギー分子としてのATPの理解に貢献するものである。 VNUTは分泌小胞にATP等のヌクレオチドを輸送するトランスポーターであり、既存のATP結合タンパク質とは全く相同性がない。昆虫細胞を用いて、ヒトVNUTとマウスVNUTの大量発現・精製系を構築した。精製VNUTをリポソーム中に再構成し、人工膜電位を形成したところ、能動的なATPの輸送が見られた。この輸送は内側が正の膜電位によって駆動され、その活性に塩素イオンを必要とした。ヌクレオチドに対する特異性は低く、ATPだけでなく、ADPやGTP等も輸送した。生理的条件下ではATPはマグネシウムイオンと複合体を形成し、1-2価の陰イオンとなっている。興味深い事に、VNUTによるATP輸送はマグネシウム存在下、非存在下でも変化が無かった。これらの結果はマウスのVNUTでも同様であり、VNUT共通の性質である事が明らかになった。ATP輸送が2価カチオンの影響を受けない事は、VNUTがこれまでのATP結合タンパク質とは異なるヌクレオチド認識システムを持っている事を示している。
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Research Products
(3 results)