2009 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質分子表面におけるATP加水分解反応の体積過程
Publicly Offered Research
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
21118515
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山中 美智男 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (80182583)
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Keywords | 生物物理 / 蛋白質 / 分子表面 / ATP |
Research Abstract |
本研究は、タンパク質分子表面におけるATP加水分解のメニズムを体積データから明らかにすることを目的として、(1)タンパク質共存下におけるATP加水分解の反応成分(ATP、ADP、無機リン酸(Pi))の部分モル体積の測定と解析、(2)タンパク質とこれら反応成分の結合挙動の解明、(3)体積挙動ならびに結合挙動における各成分の水和状態の影響の検討、の三つの研究テーマからなる。H21年度は(1)の体積測定の研究を主に行い、(2)と(3)については関連した研究を行った。(1)の研究では、各反応成分のニナトリウム塩(Na2ATP、Na2ADP、Na2Pi)と牛血清アルブミン(BSA)の混合物の水溶液密度を測定し、各成分の部分モル体積を評価した。BSAの部分モル体積は各反応成分の添加によりわずかに増加し、各反応成分の部分モル体積もBSA濃度とともに増加したことから、各反応成分のBSAへの結合の体積変化は正の値であることが分かった。また、Na2Piの部分モル体積は負の値であり、これはリン酸イオンの周りの水分子の電縮によると考えられる。各反応成分の部分モル体積の値を用いて得られたATP加水分解の体積変化は負の値であり、BSA濃度の増加とともに増加することが分かった。以上の結果は、新学術領域研究「水を主役としたATPエネルギー変換」国際公開シンポジウム(H22年3月、仙台市)で報告した。(2)については、体積挙動の解析から結合等温線を求める熱力学的方法を考案し、タンパク質-アルコール系に適用し、その妥当性を検討した。これについては日本生物物理学会第47回年会(H21年11月、徳島市)で報告した。(3)については、ATP等と同様に親水基部分にリン酸基を有する短鎖リン脂質の吸着単分子膜中における両親媒性分子との混和性と分子間相互作用を表面張力測定から研究し、第62回コロイドおよび界面化学討論会(H21年9月、岡山理科大)で発表した。以上のH21年度に得られた研究成果は、それぞれ国際学術雑誌に投稿すべく論文執筆中である。
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Research Products
(3 results)