2009 Fiscal Year Annual Research Report
水-非水混合溶媒系におけるATPおよびその断片化学種の酸塩基反応
Publicly Offered Research
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
21118516
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
神崎 亮 Kagoshima University, 理工学研究科(理学系), 准教授 (50363320)
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Keywords | ATP / イオン液体 / ミセル抽出 / 酸塩基反応 / アデニン / 硝酸エチルアンモニウム(EAN) |
Research Abstract |
21年度の研究計画としては、ミセル水水溶液、およびプロトン性イオン液体である硝酸エチルアンモニウム(EAN)中におけるATP断片化学種の特に小分子について、酸解離平衡の反応熱力学を明らかにすることにあった.まずATPの疎水基であるアデニンに着目し、共役陰イオンと陽イオン性界面活性剤DTACミセルと相互作用することが示された.実験データはアデニン、水素イオン、界面活性剤(分子)、およびミセルの対イオンである塩化物イオンを含む4元系で説明することができた.このことによって、アデニンの物性を他の核酸塩基との比較によって考察することができる.アデニンとDTACミセルの相互作用エネルギーの大部分は静電的安定化によるものである一方で、アデニンはチミンやウラシルよりも疎水性が高いことが示された.このことは、ミセルとの相互作用エンタルピーを決定することにより裏付けられた.すなわち、アデニンは(中性状態で)少なくとも他の核酸塩基より弱く水和されている(疎水性が高い)ことが熱力学量から明らかとなった. 一方で、純イオン液体中における測定については、実験上の問題から着手が遅れたため、系の検討も含め22年度も引き続いて継続する予定である. また、本研究課題に参画している多くの研究者らと交流する中で、ATPの加水分解反応前後の静的なエネルギー状態のみならず、加水分解反応における活性化エネルギーが高いこと(および酵素のようなATPエネルギーを利用する環境下において活性化エネルギーが低下すること)が、ATPを「エネルギー通貨」せしめる本質であると強く感じるに至った.直接的な実験結果ではないが、本研究課題における成果である.
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Research Products
(14 results)