2009 Fiscal Year Annual Research Report
心理物理学的手法による顔認知障害の定量的評価
Publicly Offered Research
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
21119507
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小山 慎一 Chiba University, 大学院・工学研究科, 助教 (40420913)
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Keywords | 相貌失認 / 顔認知障害 / 表情認知障害 / 社会的認知 / 心理物理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は各種顔認知障害をもつ患者の顔の見え方を画像処理と心理物理学を組み合わせた新しい検査方法によって高精度かつ定量的に評価し,顔認知障害の病態を今までとは違った視点から明らかにすることである。モーフィング等の画像処理を行った顔画像に対する患者の反応を定量的に評価することで各種顔認知障害患者(相貌失認,パーキンソン病,顔の過小視)の各種顔認知能力(人物同定,男女弁別,人種弁別,表情弁別等)を多角的かつ詳細に検討した。その結果,両側紡錘状回・海馬傍回損傷患者において,人種弁別の障害が確認された。また,この症例では人種の弁別の成績が写真の明暗を反転させることによって有意に低下したことから,顔表面の凹凸の情報が人種弁別の重要な手掛かりになっていることが示唆された。これらの結果と関連し,健常被験者において人種の弁別は主に表面の凹凸を構成する低空間周波数成分,性別の弁別は主に輪郭を構成する高空間周波数成分により大きく依存しているととが確認された。さらに,科研費によって購入した眼球運動追跡装置を用いて人種弁別・性別弁別課題遂行中の眼球運動を計測し,これらの課題遂行中の眼球運動が異なっていることを検証した。このように心理物理学的手法を用いて脳損傷患者の視覚症状を詳細に評価する手法は学術的に高い評価を受け,筆者は第5回日本神経心理学会優秀論文賞を受賞した。以上の研究に加え,工学的視点から,照明方向が顔の印象に与える影響についての研究もおこなった。以上の研究成果については,論文や学会発表,招待講演を通じて広く社会に公表した。日本心理学会では「社会的認知の障害-社会的認知に果たす皮質下の役割-」というタイトルでワークショップを行い,最新の知見を報告した。
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Research Products
(5 results)