2010 Fiscal Year Annual Research Report
顔認知他人種効果の生起因を探る―ストラテジー,処理効率,内部ノイズによる検討―
Publicly Offered Research
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
21119527
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
永井 聖剛 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (00415720)
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Keywords | 顔認知情報処理 / 他人種効果 / ストラテジー / 処理効率 / 内部ノイズ |
Research Abstract |
これまで他人種効果を扱った研究では現象を記述的に報告したものが大半であり,その生起因をシステマティックに検討したものは見当たらない。本研究では顔認知における他人種効果について,顔情報処理のストリームにおける複数のステージを詳細に分析する。実験結果から、顔認知におけるストラテジー,処理効率性,内部ノイズに関して自人種顔弁別,他人種顔弁別間で比較し,他人種効果がどの処理ステージに起因するかを明らかにすることを目的とする。初年度に行った,予備的実験ではClassification image法によって顔のどの空間位置情報を用いているかという処理ストラテジーをピクセル単位で明らかにし,自人種,他人種顔弁別間に差異があるかを検討した。実験データから,日本人被験者は外国人顔の弁別の際には目眉領域を強く利用し,日本人顔弁別では利用する箇所は一貫していないことが明らかとなった。本実験結果の解釈として,同人種の日本人顔の認知は簡単であるために,局所的な領域を手がかりとして認識可能であり,その結果,試行毎に異なる領域を手がかりとして弁別を行っていたものと考えられる。これに対し,外国人顔ではより広い領域を手がかりとして弁別を行う必要があり、安定したストラテジーをとったものと考えられる。そのため,CI法で日本人顔弁別ではストラテジーを捉えることができなかったもの推測された。本年度は,反応一貫性分析を導入することにより反応決定に関わる内部ノイズを調べることにより,試行毎に異なるストラテジーを行ったか否かを検討する実験を行った。その結果,内部ノイズには一貫した差異が認められなかった。このことから,他人種効巣はCI法,反応一貫性分析で捉えることのできない,顔情報の非線形的な利用によるものと考えられる。この点については,継続的に研究を行う。
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