2022 Fiscal Year Annual Research Report
物質中で孤立した水素の新しい観測法の確立:中性子ホログラフィーの応用
Publicly Offered Research
Project Area | HYDROGENOMICS: Creation of Innovative Materials, Devices, and Reaction Processes using Higher-Order Hydrogen Functions |
Project/Area Number |
21H00013
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大山 研司 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (60241569)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素貯蔵物質 / 中性子ホログラフィー / J-PARC / 局所構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属中の孤立水素を観測できる数少ない方法である「白色中性子ホログラフィー」により、水素吸蔵物質での水素位置決定法の確立を目的とする。格子を組まない水素が合金中にある場合、通常の散乱実験では観測が困難である。申請者は世界で初めて白色中性子ホログラフィーを実用化し、1%程度の微少量ドーパントまわりの並進対称性を持たない原子構造を世界最高精度で観測することに成功した。そこで次の挑戦として水素への展開を目指した。中性子ホログラフィーを用いれば、格子を組まない水素でも観測が可能となると予想したからである。その第1段階として、単結晶水素化物PdHxを用いて中性子ホログラフィーを行った。さらに野心的な挑戦として粉末資料での中性子ホログラフィーに挑戦した。水素化物のほとんどは粉末試料になるからである。この手法が成功すれば、水素吸蔵物質での孤立水素の構造研究が可能になる上、X 線吸収微細構造法と同様の応用研究に欠かせない測定手法となる。他の手法では得られない孤立水素の情報が世界最高精度で得られることから、物質科学研究に新しい観測視点を導入することができる。 本研究は大強度陽子加速器施設J-PARC(茨城県東海村)でおこなった。Sm粉末試料によるホログラフィー実験を行い、シミュレーションと定性的に一致する結果を得ることができ、実現への目処がたった。さらに単結晶Pdでのホログラフィー実験については、Pdからの信号が微弱なため、高強度モード測定を実装した。その結果、Pd単結晶においてPdでのホログラムの測定に成功し、PdHxでのH観測が十分に可能であることを示すことができた。この結果に基づき、令和5年度にさらに開発研究を進める。すでにマシンタイムは確保しており、準備を進めている。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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