2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical development of biohydrogenomics based on hydrogen activation and transport
Publicly Offered Research
Project Area | HYDROGENOMICS: Creation of Innovative Materials, Devices, and Reaction Processes using Higher-Order Hydrogen Functions |
Project/Area Number |
21H00014
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀 優太 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (40806915)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生体ハイドロジェノミクス / NiFeヒドロゲナーゼ / 電子状態計算 / 反応解析 / 構造解析 / 水素・電子カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、可逆的に水素を分解する[NiFe]ヒドロゲナーゼの内部構造に注目し、量子化学計算による解析を行いました。実験により得られたX線結晶構造と計算により得られたモデル構造を比較し、酸化型[NiFe]ヒドロゲナーゼの活性中心の具体的な構造や電子状態を特定しました。特に、得られた構造のうち、低スピン状態のNi2+とS-OがFeとNi間を架橋した状態は、これまで発見されなかった新規な構造・電子状態であることがわかりました。 また、本研究では、無水プロトン伝導物質の伝導機構解明に向けた理論解析を、本新学術領域内の研究者と連携して行いました。量子化学計算により、コハク酸イミダゾリウム結晶中の赤外吸収スペクトルの実験値と振動数解析により得られた赤外吸収スペクトルシミュレーションによる結果を比べることにより、コハク酸イミダゾリウム結晶中の局所水素結合構造を特定することができました。さらに、得られた局所構造をもとにイミダゾールの回転運動とコハク酸との分子間プロトン移動に対するポテンシャルエネルギー計算の結果から、プロトン伝導は、プロトン移動とイミダゾールの回転運動のカップリングによる効率的に進行することが明らかになりました。また、プロトン伝導の律速は、分子間のプロトン移動であることが明らかになり、高効率なプロトン伝導物質の開発には、プロトン移動を引き起こしやすい分子の組み合わせを探索することが重要であることを提案することができました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無水プロトン伝導物質の伝導機構解明に向けた理論解析は、本新学術領域内の研究者と連携して行うことができました。理論計算と実験との連携により得られた結果は、The Journal of Physical Chemistry LettersとSolid State Ionics誌に掲載することができました。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに量子化学計算により、酸化型[NiFe]ヒドロゲナーゼの活性中心の具体的な構造や電子状態を特定しました。今後は、得られた構造や電子状態の妥当性を検討するために、参加状態の生成過程を探索する。 また、領域内の連携をより強化し、水素電子カップリングの学理構築および生体内ハイドロジェノミクスを推進していく。
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Research Products
(14 results)