2021 Fiscal Year Annual Research Report
格子窒素及び水素を利用した活性触媒界面の形成とその作用機構解明
Publicly Offered Research
Project Area | HYDROGENOMICS: Creation of Innovative Materials, Devices, and Reaction Processes using Higher-Order Hydrogen Functions |
Project/Area Number |
21H00019
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北野 政明 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 准教授 (50470117)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 活性触媒界面 / アンモニア合成 / アンモニア分解 / 格子アニオン |
Outline of Annual Research Achievements |
担体の格子アニオンサイトによる遷移金属ナノ粒子触媒のアンモニア分解に対する促進効果を調べる中で、CaNHを担体としNiナノ粒子を担持した触媒が極めて高いアンモニア分解活性を示すことを明らかにした。Ni/CaNH触媒は、一般的な酸化物にNiを担持した触媒であるNi/Al2O3やNi/CaOに比べて約100℃低温でアンモニア分解反応を進行させることがわかった。また、触媒中に含まれるNi重量当たりの水素生成速度を算出したところ、世界最高レベルの触媒活性を持つことが明らかとなった。 Niを担持していないCaNHそのものにもアンモニア分解活性が確認され、同位体を用いた実験やDFT計算などにより、CaNH表面に生じるNH2-欠陥に局在する2個の電子がアンモニア分子を活性化することを明らかにした。Ni表面上へのアンモニア吸着エネルギーよりもNH欠陥を有するCaNH表面へのアンモニア吸着エネルギーの方が大きいことが示され、アンモニア分子の活性点がNi表面ではなく、CaNH上のアニオン空孔サイトであることが明らかとなった。実際に、アニオン空孔を形成したCaNHこ、アンモニアガスを50℃で導入すると、アニオン空孔の再生とともに水素を放出する。すなわち、アニオン空孔の電子がアンモニア分子と反応し、活性化していることが明らかとなった。この時、中間体としてNH2種が表面に形成されることがFTIRによって確認できている。一方、CaNH上に担持されたNiナノ粒子は、NH2-欠陥サイトの形成を促進している。以上のように、Ni/CaNH触媒上では、Ni-CaNH活性触媒界面の格子NHサイトが関与するMars-van Krevelen型機構でアンモニア分解反応が促進されていることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンモニア分解反応を著しく促進できるNi/CaNH触媒を見出した。本研究によって、担持金属―担体活性界面における格子アニオンおよびアニオン空孔の役割が明確化され、より高性能な触媒設計の指針が得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
同じ結晶構造を有し、格子にH-イオンおよびN3-イオンを有する材料を作り分けることで、それぞれのアニオン種が触媒活性にどのような促進効果を示すかより詳細に明らかにしていく。それらの結果を通じて、アンモニア合成および分解反応に対してさらに高性能な触媒開発につなげていく
|