2021 Fiscal Year Annual Research Report
原子精度で制御された金属ナノ構造体の創製と水素生成電極触媒への展開
Publicly Offered Research
Project Area | HYDROGENOMICS: Creation of Innovative Materials, Devices, and Reaction Processes using Higher-Order Hydrogen Functions |
Project/Area Number |
21H00027
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
川脇 徳久 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 講師 (60793792)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 金属クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
高選択反応、高難度反応、高効率反応系の実現に向けて、金属クラスターを触媒として用いた検討を進めている。特に、金属クラスター集積体を用いた新規触媒反応系の構築を予定しているが、集積体ではなく、金属クラスター単体の触媒活性を評価することも、集積体の効果を適切に見積もるためには重要と考えられる。 反応としては、水分解水素生成反応を選択した。水と太陽光から水素を製造できる水分解光触媒の開発は、次世代エネルギー社会の実現に向けて、特に重要である。しかし、その実用化にはさらなる活性向上が必要不可欠である。近年、多くの可視光応答光触媒が報告されているが、実際の反応サイトとなる助触媒については、いまだ詳細な検討がなされていない。特に、金属助触媒の「粒径」や「電子状態」を精密に制御することは従来法では困難であるため、より高度に制御された助触媒担持手法の確立が望まれている。本研究では、液相法によって合成した直径1 nm程度の白金(Pt)ナノクラスターを、光触媒上に担持する手法を確立し、助触媒の粒径と電子状態の精密制御を目指した。 その結果、有望な可視光応答光触媒である窒化炭素の水素生成量を、従来法である光電着法や含浸法と比較して、それぞれ3.5倍と13倍まで高活性化することに成功した。さらに、Pt使用量当たりの活性は、従来法と比較して最大53倍となり、その他の水分解光触媒にも応用可能な汎用的な手法であることを明らかにした。本研究によって、様々な最先端光触媒の更なる高活性化が可能になり、ひいては次世代エネルギー社会の実現に大きく前進すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液相法によって合成した直径1 nm程度の白金(Pt)ナノクラスターを、光触媒上に担持する手法を確立し、助触媒の粒径と電子状態の精密制御を達成した。これにより、水分解光触媒水素生成について、従来触媒よりも大幅な高活性に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
既報のMOF/PCPの研究を参考にして、金属クラスター同士の金属-金属結合を連結点として用いた、金属クラスター集積体を創製する。金属クラスターは、一部のdブロック金属とpブロック元素との化学結合性が強いことに起因して、一定の金属元素数(Au11, Au25, Au38など)で安定的に存在する。特に、硫黄元素を含むチオラートは、11族元素(Ag、Au、Cu)に強く配位するため、クラスター化が容易である。 そこで、金属種としてAg、Au、Cu、Ptを中心とした9-12族をターゲット元素とする。ここで、特定の配位子との金属-配位子の結合強度は、ピアソンのハード/ソフト酸/塩基(HSAB)則に沿っており、MOFにおける多くの研究でこれらの傾向が裏付けられている。これらの傾向から、比較的なソフトな有機リンカーであるアゾレートリガンドを配位子として、金属クラスター集積体の合成を試みる。さらに、11族金属はS、P、CO、F、SbF6とも強く配位し、金属クラスター集積体の形成を熱力学的に安定させる効果が期待され、これらの有機配位子を少量加えた合成法も試みる。
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Research Products
(75 results)