2021 Fiscal Year Annual Research Report
観測と星間化学モデルで迫る銀河系外縁部の化学的多様性形成史
Publicly Offered Research
Project Area | A Paradigm Shift by a New Integrated Theory of Star Formation: Exploring the Expanding Frontier of Habitable Planetary Systems in Our Galaxy |
Project/Area Number |
21H00037
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下西 隆 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80725599)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 星間化学 / 銀河系外縁部 / 星形成 / 原始星 / 星間分子 / アルマ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の住む銀河系の外縁部は、過去の銀河系の環境的特徴を今に残す興味深い領域である。本研究は、星間化学研究の未開拓領域である銀河系外縁部の星形成領域の化学分析を通して、現在の太陽系近傍とは異なる原始的な銀河環境下にある星・惑星材料物質の化学的多様性の調査を行なっている。このために、星形成コアスケールでの星間分子観測を外縁部の星形成領域に対して行い、それらの化学的特徴を探っていく。本年度の研究では、アルマ望遠鏡を用いた銀河系外縁部の星形成領域に対する電波観測データの解析を行い、ホットコアと呼ばれる化学的に豊かな高温の分子ガスが付随する原始星を発見した。また、銀河系外縁部の星形成コアの星間化学研究をより多くの天体に拡張するため、これまでの研究で得られた原始星探査の手法を複数の異なる外縁部星形成領域に適用するための観測戦略の策定を行なった。これには既存の赤外線観測データおよび研究協力者との共同研究により新たに取得したジェミナイ南望遠鏡による高感度・高空間分解能近赤外線データを用いた。銀河系外縁部に対する分子雲の探査データと近赤外線域の色等級図を用いた原始星候補天体探査を組み合わせ、銀河系外縁部の複数の星形成領域において観測ターゲットとなる赤外線源の絞り込みを行った。ここでの検討内容は次年度以降の観測公募に活かしていく。以上に加えて、海外の研究協力者らと共同で多様な星形成環境下における星間分子生成に関する理論研究も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
銀河系外縁部の星形成領域に対するアルマ観測データの解析は順調に進んでいる。新たな外縁部星形成領域に対する観測計画の策定も順調に進んでいる。一方、海外の研究協力者と共同で行う予定であった銀河系外縁部の低金属量星形成コアの化学進化に関する計算研究については、パンデミックの影響による海外渡航の制限のためやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究では、これまでの研究で得られた原始星探査および化学分析の手法をより多くの外縁部天体に拡張するための観測戦略の策定を行なった。ここで検討された内容を次年度のアルマ望遠鏡観測公募に活かし、新たな観測時間の獲得を目指す。
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