2021 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of super-fine structures in interstellar molecular gas in high sensitivity millimeter VLBI imaging
Publicly Offered Research
Project Area | A Paradigm Shift by a New Integrated Theory of Star Formation: Exploring the Expanding Frontier of Habitable Planetary Systems in Our Galaxy |
Project/Area Number |
21H00047
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
今井 裕 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (70374155)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超長基線電波干渉法 / 星間物質の微細空間構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
星間ガス雲は元々のっぺり広がった構造体又は細かい塊の集合体のどちらだったのか? この疑問に答えるべく本研究では、星間物質中にあると想定されている分子ガス塊の最小構造(1 au 程度)の直接撮像を狙う。この為に、明るくコンパクトなクェーサーを背景光源としてその手前の天の川銀河内で広がるガス雲を3mm帯分子(主に、シアンやホルミルイオン) 線スペクトルの吸収線系として捉えるべく、VLBI(超長基線電波干渉法)の解像度(1ミリ秒角程度)で撮像する。この目的を果たすべく、高感度を持つ野辺山45m電波望遠鏡に3mm帯VLBI観測システムの構築を進めた。我々は HINOTORI (Hybrid Integration Project in Nobeyama, Triple-band Oriented)事業を進めてきたが、当該年度では特に、VLBI向けの観測指示書作成スクリプトを完成させ、その実機への投入を果たした。また、3mm帯受信機(TZ)改修後の性能評価を進め、当初持っていた性能を維持し続けていることを確認できた。また、野辺山局に新規導入した高速アナログ/デジタル変換器及び高速データレコーダの動作試験を進め、VLBI受信信号の記録速度を完全した。これにより、上記分子スペクトルに留まらずデータ較正の為に必要な一酸化珪素メーザー放射のデータも同時に取得できる目処がたった。新しい信号伝送経路を使う為に、当初は異様に大きな局内機械的遅延時間残差が見つかったが、その原因を突き止めて排除することができた。肝心の分子ガス塊の最小構造について、ALMAの解像度(100ミリ秒角程度)での検出/未検出の報告に基づき、上記以外の分子スペクトルでも吸収線撮像が可能である見通しがついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染拡大防止策の制約もあり、現地作業が大幅に遅れた。それに加え、野辺山局-KVN間VLBI実験も実施したが、相関フリンジの検出に至っておらず、その原因を究明する必要がある。国際実験故にデータ転送に時間が掛かる上、相関処理待ちの期間が大変長い(2カ月以上)こともあり、実験には難儀した。極め付けは、(翌年度の話になるが)野辺山局の水素メーザー周波数標準が故障してしまい(2022年11月)、VLBI実験そのものを中止せざるを得なくなった(その不具合の予兆が当該年度でもあったかもしれない)。野辺山局抜きでのVLBI観測というバックアッププランを並行して企画・実行するべきだったが、野辺山局立ち上げに専念してしまったため、それもできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、KVN単独でもVLBI実験を進め、分子スペクトル吸収線の検出・撮像を進めるべきだろう。ちなみに、KVNでは先行してこちらで検討してきた観測を2013年に実行し、角分解能がさらに低い欧州結合型干渉計PBdIで取得した吸収線のプロファイルと酷似した結果が得られている。我々としては、他の分子スペクトル線でも同様な吸収スペクトルが得られるのか、10年後に再度観測してもプロファイルが変化しないのかについて調査する計画である。 さらに、Spectral line Event Horizon Telescope (アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMAや他の電波望遠鏡を組み合わせたスペクトル線撮像に特化したVLBI観測網)を使った観測も計画していく(2023年度から観測機会が公開された)。こうして、極端に角分解能を上げても空間分解されずに吸収線が検出できるのか確認する。
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Research Products
(3 results)