2021 Fiscal Year Annual Research Report
低金属量環境下における分子ガス雲トレーサーとしての一酸化炭素分子輝線の挙動解明
Publicly Offered Research
Project Area | A Paradigm Shift by a New Integrated Theory of Star Formation: Exploring the Expanding Frontier of Habitable Planetary Systems in Our Galaxy |
Project/Area Number |
21H00049
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
徳田 一起 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (60802139)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 電波望遠鏡 / ALMA / 星形成 / 低金属量環境 / 巨大分子雲 |
Outline of Annual Research Achievements |
銀河系における(特に太陽系近傍)分子雲から原始星がどのように形成されるかという問題については近年の観測技術の発達によりその原始星形 成極初期を除いては概ね理解されるようになった。星間ガスの大局的な流れ、あるいはガス雲同士の衝突により局所的に0.1 pc程度の幅を持つ高密度な紐状分子雲(以下、フィラメント状分子雲)が形成され、その後重力の力により分裂/収縮し、原始星形成に至るという描像である。一 方で遠方銀河の観測に目を向けると、現在の銀河系では見られないような高い効率で星が形成されており、少なくとも赤方偏移2程度までは増加傾向である。遠方銀河の観測は現在/将来の観測技術を以ってしても個々の星形成領域は分解できない。そこで本研究では、太陽系から最も近い低金属量銀河である小マゼラン雲を観測することにより、そこに存在する分子雲を観測し、内部での星形成活動を理解する。 ALMA望遠鏡のデータは通常、観測プロポーザルが採択された提案者に占有期間(1年)が与えられるため、それ以外のグループが後出しでアーカイブデータに着手することによる競争のリスクは大きい。そこで我々がまず比較的そのリスクを最小限に抑えられるデータに着目し、小マゼラン雲北側をカバーするデータの解析を進めた。その結果、小マゼラン雲においてはCO分子輝線が分子雲の高密度部分のみをトレースすることなどを見出し、これらのデータをプレゼンテーションする論文を出版した(Tokuda et al. 2021, ApJ, 922, 171)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模ALMAアーカイブデータを順調に出版できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のアーカイブデータに基づいたデータ解析論文は現在2本目を投稿中である。まずは令和4年度の早期にこの論文の受理を目指す。また大小マゼラン雲のいくつかの天体をより高解像度で観測するALMA望遠鏡の観測計画を提出した。採択されれば、低金属量環境下でのフィラメントの有無、およびその性質について迫ることが可能となる。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
-
[Presentation] ALMA ACA による大マゼラン雲超広域CO探査(1): Molecular ridge 領域における大質量原始星に付随するフィラメント状分子雲普遍性の検証2022
Author(s)
徳田一起, 南大晴, 北野尚弥, 鈴木大誠, 小西亜侑, 大西利和, 山田 麟, 西岡丈翔, 立原研悟, 福井康雄, 柘植紀節, 南谷哲宏, 河村晶子, 竹腰達哉
Organizer
日本天文学会2022年春季年会
-
[Presentation] ALMA ACA による大マゼラン雲超広域CO探査(2):Molecular ridge 領域における高密度分子雲クランプの分布2022
Author(s)
南大晴, 北野尚弥, 鈴木大誠, 小西亜侑, 大西利和, 徳田一起, 山田 麟, 西岡丈翔, 立原研悟, 福井康雄, 柘植紀節, 南谷哲宏, 河村晶子, 竹腰達哉
Organizer
日本天文学会2022年春季年会
-
[Presentation] 巨大分子雲における星形成と銀河進化:M33 (2)2022
Author(s)
小西亜侑, 村岡和幸, 藤田真司, 大西利和, 徳田一起, 小林 将人, 河村晶子 出町史夏, 山田麟, 立原研悟, 福井康雄, 柘植紀節
Organizer
日本天文学会2022年春季年会
-
-
[Presentation] ALMAを用いた大マゼラン雲N159領域の観測:分子雲の全体像2021
Author(s)
南大晴, 小西亜侑, 小西諒太朗, 鈴木大誠, 大西利和, 徳田一起, 柘植紀節, 立原研悟, 福井康雄, 南谷哲宏, 河村晶子
Organizer
日本天文学会2021年秋季年会
-
-
-