2021 Fiscal Year Annual Research Report
大規模シミュレーションによる原始惑星系円盤の大域的構造の解明
Publicly Offered Research
Project Area | A Paradigm Shift by a New Integrated Theory of Star Formation: Exploring the Expanding Frontier of Habitable Planetary Systems in Our Galaxy |
Project/Area Number |
21H00056
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
岩崎 一成 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 助教 (50750379)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 原始惑星系円盤 / 磁気流体力学 / 非理想磁気流体効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では非理想効果を考慮した原始惑星系円盤の大域シミュレーションを実施している。今年度は、(1) オーム散逸と両極性拡散を考慮した原始惑星系円盤大域シミュレーションでの磁束進化の解析とパラメータサーベイ、(2) 全ての非理想効果を考慮した原始惑星系円盤大域シミュレーションに向けて、ホール効果のAthena++への実装 をおこなった。以下にそれぞれについて報告する。 (1)においては、デッドゾーンでの磁束進化はダスト量に依存することがわかった。原始惑星系円盤赤道面付近では、ダストが電荷を担うので、ダスト量が散逸係数分布に大きく影響する。磁束進化は、デッドゾーンのすぐ上空に流れる表面降着流により円盤内側へ引きずられる効果と、表面降着流に働く両極性拡散により外側に拡散される効果の競合関係によって決まる。ダスト量が少ない場合には、オーム抵抗のデッドゾーンが狭まることで、表面降着流で両極性拡散が効き内側へ磁束が輸送される。一方ダスト量が多い場合には、オーム抵抗のデッドゾーンが上空まで広がることによって、表面降着流で両極性拡散が効きづらくなり、磁束は内側へ輸送されることがわかった。 (2)においては、ホール効果の数値計算手法を選定あるいは開発するために、数値計算手法の線形解析に相当するvon Neumann解析をおこなった。その結果、時間3次精度積分法を使うと、流体部の数値粘性を含めれば、従来報告されていた数値不安定が起きないことがわかり、実際に簡単なテスト問題(ホイッスラー波の伝播)でこの性質を確認した。現在Athena++に実装し、動作試験をおこなっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーム抵抗と両極性拡散を考慮した原始惑星系円盤大域シミュレーションにおいて、パラメータサーベイを実施し、磁束の進化がデッドゾーンでの拡散係数の空間分布に依存することがわかった。原始惑星系円盤の進化モデルの構築において、最もよくわかっていない物理過程であるので、本研究の結果は大きなインパクトがあると考えている。ホール効果の実装については、von Neuman解析を実施し、実装方法の選定が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ホール効果と両極性拡散を考慮した原始惑星系円盤の大域シミュレーションの成果を査読付き論文としてまとめる。Athena++へのホール効果実装を完了させ、今年度中ごろまでには本計算を開始する。
|
Research Products
(3 results)