2021 Fiscal Year Annual Research Report
Implications of quantum gravity for neutrino masses
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of Particle Physics and Cosmology with Neutrinos |
Project/Area Number |
21H00075
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野海 俊文 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (30709308)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 弦理論 / 量子重力 / スワンプランド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、量子重力の立場からニュートリノ質量の起源に迫ることである。特に、散乱行列理論を応用することで、量子重力と整合的なニュートリノ質量の値、階層性、質量タイプなどを明らかにしたい。研究初年次である2021年度の成果は以下の通りである。 まず、本研究で用いる解析手法の整備も兼ねて、素粒子標準模型における散乱振幅のユニタリ性を重力相互作用まで含めて精査した。興味深いことに、量子重力との整合性から「相互作用の統一」が自然に現れることを示唆する結果を得た。また、その過程では、ゲージ相互作用だけでなく、湯川相互作用に対しても弱い重力予想と類似の条件が得られるなど、手法の汎用性を期待させるものがあった。当該論文はPhysical Review Letterより出版された。 また、重力と相互作用するスカラー場に対しても同様の解析を行なった。素粒子標準模型を3次元にコンパクト化した時のモジュライ場のポテンシャルはニュートリノ質量の値、階層性、質量タイプに強く依存する。特に、ニュートリノ質量と暗黒エネルギーの大小関係に応じて、ポテンシャルの形が定性的に変わることが知られている。これに動機付けられて、スカラー場の散乱振幅のユニタリ性を重力相互作用まで含めて精査し、「スカラー場のポテンシャルが満たすべき不等式」を導出した。この成果をまとめた論文はPhysical Review Dより出版された。 2022年度は、これらの成果を具体的なニュートリノ模型に応用していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で用いる解析手法の整備も兼ねて素粒子標準模型の解析を行なったが、その結果自体が大変興味深く、Physical Review Letterより出版された。また、ニュートリノ物理への応用を念頭に行ったスカラー場の解析結果もPhysical Review Dより出版されるなど、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に得られた成果を具体的なニュートリノ模型に応用し、ニュートリノ質量が満たすべき整合性条件を具体的に書き下すのが今後の研究課題である。また、本研究の解析手法である「重力理論における散乱行列理論」の理論的側面についても、Regge理論やブラックホールエントロピーなどの視点から整備していきたい。
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Research Products
(7 results)