2021 Fiscal Year Annual Research Report
New development of neutrino physics based on a combined technique of superconducting detectors and precise structure formation
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of Particle Physics and Cosmology with Neutrinos |
Project/Area Number |
21H00077
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石野 宏和 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (90323782)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超伝導検出器 / ニュートリノ / レーザー微細加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超伝導検出器技術とレーザーによる微細加工技術を組み合わせて、ニュートリノ物理学の新展開を狙うものである。インジウムと超伝導検出器を組み合わせて電子ニュートリノを曖昧さなしに検出することを目指す。 前年度に開発した超伝導検出器を用いて、非熱的フォノンの感度を実測した。インジウム標的やシリコン基板からのフォノンの到達量は制御が困難であるので、静的な状況で、超伝導検出器の温度を上げることにより、疑似的な励起状態を実現する。超伝導検出器の温度を上げると、熱励起によりクーパー対が壊れ力学的インダクタンスが変化し、共振周波数も変化する。共振周波数の変化と温度の関係をBCS理論から導かれる関係式を用いて、励起準粒子の数に変換する。クーパー対を壊して準粒子を生成するエネルギーはわかっているので、到達フォノンの数と検出器の周波数変化の関係から感度を得ることができる。測定結果、1keVのエネルギー付与当たり0.037度の位相変化が測定され、太陽からの電子ニュートリノに関しては十分な感度を有することが分かった。 インジウムでの電子ニュートリノ検出には、励起錫原子核からの脱励起ガンマ線を検出する必要がある。その検出効率を最適化する検出器システムの設計をGeant4を用いて行い、超伝導検出器一つ辺りに装着するインジウム標的の大きさを決定した。 インジウムを超伝導検出器に装着する手法として、インジウムをガイドする治具をレーザー加工で作製することにした。当初はシリコン基板でジグを作製したが、インジウムとの濡れが悪く、条件を変えながら何度も試したが成功しなかった。一方、サファイアで同様のことを行ったところ、うまくインジウムが溶けて超伝導検出器への接続に成功した。おそらく、熱伝導率が関係しているものと思われる。インジウム装着超伝導検出器は9割以上の歩留まりを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の難関であった、超伝導検出器とインジウム標的を接続する手法がついに確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、インジウムからのベータ崩壊や、シリコン基板からのフォノンの検出をすることにより、検出器としての原理検証と感度評価を行う。
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