2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of kink deformation dynamics based on rank-1 connection
Publicly Offered Research
Project Area | Materials science on mille-feullie structure -Developement of next-generation structural materials guided by a new strengthen principle- |
Project/Area Number |
21H00093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白岩 隆行 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10711153)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | AE(アコースティック・エミッション) / キンク / LPSO / マグネシウム合金 / Rank-1接続 / 弾性波 / 微視変形 / 原波形解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 圧縮試験中のAE計測およびその場観察装置の高度化: Mg85Zn6Y9一方向凝固材の圧縮試験中に発生するキンク生成由来のAE波形のみを精度よく抽出する計測システムを構築した。また表面で発生するキンク帯については、検証のために、倍率を向上させた高速度カメラによりその形状変化を撮影した。 (2) Rank-1接続条件を考慮したAE原波形解析手法の開発: キンク帯には均一にせん断ひずみが生じ、キンク/母材界面は連続性を保つと仮定することで、結晶格子回転の角度とひずみテンソルの関係を得た。また検出されたAE波形を逆解析することにより、AE源のダイポールモーメントを求め、固有ひずみテンソルを計算した。さらに、せん断ひずみ量に関する方程式を解くことで、キンク帯形状と結晶方位回転の時間変化を計算した。 (3) 試料表面の高速観察, 起伏計測, 結晶構造解析による解析手法の検証: 高速度カメラによる試料表面の観察結果や、レーザ顕微鏡による表面起伏の計測結果を用いて、提案手法の妥当性を検証した。 (4) 自己相似性解析:当初の計画を超えて、点過程モデルをAE信号の解析に応用することで、その自己相似性を定量的に評価することを試みた。代表的な点過程モデルとして、定常ポアソン過程、Hawkes過程、ETASについて最尤推定を行い、AIC(赤池情報量規準)によりモデル選択することで、LPSO型マグネシウム合金におけるキンク変形は、非ポアソン過程であり、本震/余震型の相互作用を持つことがわかった。 (5) フラクタル解析:AE信号と表面観察結果のフラクタル解析から、キンク生成は、規模(モーメント)、空間的形状、発生時間間隔において、自己相似性を持つことが示された。これらの知見は、キンク生成における動的機構や、キンク帯同士の相互作用を考察するために有効であると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究計画は2021年12月までに完了し、その解析結果から、LPSO型マグネシウム合金におけるキンク変形には自己相似性があることが示唆された。2022年1月から3月にかけては、当初の計画を超えて、点過程モデルをAE信号の解析に応用することで、その自己相似性を定量的に評価することを試みた。代表的な点過程モデルとして、定常ポアソン過程、Hawkes過程、ETASについて最尤推定を行い、AIC(赤池情報量規準)によりモデル選択することで、LPSO型マグネシウム合金におけるキンク変形は、非ポアソン過程であり、本震/余震型の相互作用を持つことがわかった。またフラクタル解析から、キンク生成は、規模(モーメント)、空間的形状、発生時間間隔において、自己相似性を持つことが示された。以上は、キンク生成における動的機構や、キンク帯同士の相互作用を考察するために有効な知見であると期待できる。当初の計画以上の解析を行い予想していなかった知見を得ることができたため、区分(1)に該当すると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、その場観察画像やAE信号に対して、フラクタル次元を解析することで、自己相似性の定量化を目指す。例えば、Rank1-AE逆解析から得られた回転角や生成時間を点過程のマークとして利用することで、キンク帯同士の相互作用をより詳細に解析する。LPSO型マグネシウム合金は結晶構造スケールでミルフィーユ構造を持つが、Al系・Ti系ミルフィーユ材では微視組織スケールにおいて積層構造を有する。これらの違いが、キンク変形の自己相似性とどのように相関するか、検討する。また、これらの自己相似性の違いが、キンク変形による強化量とどのように関係するか検討する。
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