2021 Fiscal Year Annual Research Report
Probing deuteron and dineuteron inside nuclei with the accurate description of knockout reactions
Publicly Offered Research
Project Area | Clustering as a window on the hierarchical structure of quantum systems |
Project/Area Number |
21H00125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
緒方 一介 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (50346764)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クラスターノックアウト / 弱束縛クラスター / 非束縛クラスター / CDCCIA / 離散化チャネルインパルス近似 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核から重陽子を叩き出し、これを観測する「重陽子ノックアウト反応」において、 (1) 叩き出された重陽子が放出過程で陽子と中性子に分解する反応経路 (2) 素過程である陽子-重陽子反応において重陽子が破砕される自由度 の2つを新たに考慮した。(1)は、弱束縛粒子の分解反応を精度よく記述する模型として知られている「連続状態離散化チャネル結合法(Continuum-Discretized Coupled-Channels method: CDCC)」と、ノックアウト反応を記述する標準的模型である「歪曲波インパルス近似(Distorted-Wave Impulse Approximation: DWIA)」を融合することにより実現した。この新しい反応模型を離散化チャネルインパルス近似(CDCCIA)とよぶ。(2)は、核子-核子散乱を有効相互作用を用いて記述する手法を3核子系に適用することで達成した。これらにより、ノックアウト反応によって測定される重陽子を、原子核内部に存在していた重陽子とみなしてよいかどうかを判定する手法が整った。 これに加えて、重陽子の弱束縛性が鍵となるハドロン物理学の研究も遂行した。具体的には、高エネルギーの原子核衝突で生成されるΞ粒子と重陽子の相関関数を3体反応模型で分析し、重陽子の分解効果を定量的に評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の計画として掲げていたCDCCIAの完成を前倒しで遂行しただけでなく、研究の主軸を共有するハドロン物理分野での研究も実行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に達成した ・叩き出された重陽子が放出過程で分解する反応経路の考慮 ・素過程である陽子-重陽子反応の改良(分解自由度の導入) の研究開発をベースとして、非束縛“クラスター”であるダイニュートロンノックアウト反応の描述に取り組む。ダイニュートロンは非束縛系であるが、まずは有限の空間に分布する2中性子波動関数を仮定し、その2中性子ペアがどのように叩き出され、どのように観測されるかを明らかにする。その後、原子核を3体系(コア+2中性子系)として記述し、これを2中性子の(近似的)完全系で展開することで、より現実的な核内2中性子の記述を実現する。この手法は、叩き出された後の弱束縛粒子の振る舞いを記述する連続状態離散化チャネル結合法(Continuum-Discretized Coupled-Channels method: CDCC)と極めて親和性が高く、両者の組み合わせは容易であると考えられる。 この手法の確立は、重陽子ノックアウト反応の記述の改良にも資する。具体的には、はじめ、原子核の中で重陽子とは異なる振る舞いをしていた陽子・中性子ペアが、ノックアウト反応によって最終的に重陽子として観測される確率(断面積)を定量的に評価することができる。
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Research Products
(6 results)