2021 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of the measurement method of forward phi->K+K- decays in p+A collisions at J-PARC
Publicly Offered Research
Project Area | Clustering as a window on the hierarchical structure of quantum systems |
Project/Area Number |
21H00128
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
佐甲 博之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40282298)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Φ中間子 / J-PARC / カイラル対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はJ-PARCにおいて陽子・原子核衝突実験におけるΦ中間子の質量変化を高統計のΦ→K+K-崩壊によって研究するため、その測定手法を確立することである。2021年7月にこの実験をJ-PARC実験審査委員会に提案した。φ→e+e-を測定するE16実験のスペクトロメーターの前方角にK中間子識別検出器を設置し、約1か月のビームタイムで約1Mのφ→K+K-事象を得る計画である。実験審査委員会では、K中間子と核子間の相互作用の影響に関して理論的考察を進めることが要求された。理論研究者である韓国Yonsei大学のSu Houng Lee教授、原子力機構のPhilipp Gubler研究員と協力して2023年1月に次の実験審査を受けた結果、Stage-1(物理の重要性)の採択を得る見込みとなった。上記の実験審査のためにK中間子識別検出器であるMRPC、エアロジェルチェレンコフ検出器、およびスタートタイミング検出器の概念設計を行い、K中間子識別トリガーを設計した。MRPC検出器に関しては、ガラス昇温による1台の試験機を製作し、LEPS2におけるビーム試験、および宇宙線による試験を開始した。さらに、エアロジェルチェレンコフ検出器に関しては、先行研究のKEK-E325実験でΦ中間子の質量減少の兆候が見つかった低速のφ中間子を集中的に測定するため、エアロジェル放射体の屈折率を1.15に選択し、シミュレーションによる設計を開始した。K中間子識別トリガーについては、スタートタイミング検出器およびMRPC検出器の水平方向の位置による荷電粒子の偏向、およびスタートタイミング検出器とMRPC検出器による飛行時間を組み合わせてK中間子識別を行う方式を考案した。これをオンライントリガーとして信号処理によって実現するためのトリガーモジュールを導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を推進するための必須条件であるJ-PARCにおける実験提案を行い、1回目の実験審査委員会(2021年7月)において課された理論的考察の課題を解決し、2回目の審査委員会(2022年1月)を経て、Stage-1の採択を得る見通しとなった。また、K中間子識別のための検出器であるMRPC検出器およにスタートタイミング検出器、およびエアロジェルチェレンコフ検出器の設計を行った。MRPCに関してはこの実験で見込まれる高レート環境のためにガラスを昇温して抵抗率を下げ、耐高レートに対応する試験機を製作し、最初のビーム試験をLEPS2において行った。以上のことから研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度にはΦ→K+K-実験のStage-1採択が見込まれる。MRPC検出器、スタートタイミング検出器、およびエアロジェルチェレンコフ検出器の試験機の製作を行うととともに性能評価を行い、2023年度に予定されているJ-PARCにおける性能評価試験のために検出器の架台を製作し、検出器の一部を設置する。MRPC検出器を2台製作し、筑波大学における宇宙線による試験とLEPS2におけるビーム試験を行い、検出効率や時間分解能等の性能評価を行う。さらにスタートタイミング検出器およびエアロジェルチェレンコフ検出器の試験機を製作し、それらの性能評価を行う。
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Research Products
(2 results)