2021 Fiscal Year Annual Research Report
ハイエントロピー合金の短範囲秩序形成に伴う弾性的性質の変化
Publicly Offered Research
Project Area | High Entropy Alloys - Science of New Class of Materials Based on Elemental Multiplicity and Heterogeneity |
Project/Area Number |
21H00148
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 克志 神戸大学, 工学研究科, 教授 (30236575)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 短範囲秩序 / 活性化エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
CrCoNiミディアムエントロピー合金試料を一定速度で加熱,冷却した時の電気抵抗の温度変化のその場測定結果を行った.圧延ままの試料では電気抵抗は小さく,熱処理を施すことで電気抵抗が増加することが明らかとなった.加熱過程において800 Kから900 Kの間では一旦熱処理後の試料よりも大きな電気抵抗値となる.圧延ままの試料であることから転位の存在が何らかの形で関与していると考えられるが,詳しいことは分かっていない.冷却速度が異なる場合における電気抵抗変化の違いについても検討した.900 K以下では電気抵抗の冷却速度依存性が見られ,冷却速度が速くなると内部の原子配列が熱平衡状態を保てなくなることが分かる.900 K以上では微分値も冷却速度に依存せず,これ以上の温度では試料が熱平衡状態にあることが確認された.また,熱平衡状態からずれ始める温度を求めると,この温度と冷却速度との間はアレニウスの関係を良く満たすことが分かった.この関係がさらに速い冷却速度に外挿しても成り立つと仮定すると,水焼き入れで実現可能な5000 K/秒の焼き入れ速度では1075 K程度の熱平衡状態が焼き入れ可能であるにすぎないことが明らかとなった. 次に1173 Kから水焼き入れを行なった後,653 K, 673 K, 693 Kと熱処理温度を変化させながら電気抵抗変化を測定した.熱処理温度を変化させた時間において活性化エネルギーを求めると,電気抵抗変化に係る活性化エネルギーは240~270 kJ/molと決定された.これはハイエントロピー合金中の各元素の拡散の活性化エネルギー240~320 kJ/molとほぼ同等である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短範囲秩序状態の温度変化,熱処理時間変化についての定量的な知見を得ることができ,令和4年度に行う結合エネルギーの変化の測定に対して適切な試料調整条件を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
明らかになった熱処理条件を適用したCrCoNi単結晶試料の作製を行う.この短範囲規則状態が異なる試料について単結晶弾性定数の測定を行い,短範囲規則状態の形成に伴う弾性的性質の変化を明らかにする.また,体積弾性率の導出を行うことで,短範囲規則状態の形成エンタルピーを算出する.
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Research Products
(6 results)