2021 Fiscal Year Annual Research Report
Solute-atom induced stress field inside high-entropy alloys: first-principles atomic stress calculations
Publicly Offered Research
Project Area | High Entropy Alloys - Science of New Class of Materials Based on Elemental Multiplicity and Heterogeneity |
Project/Area Number |
21H00154
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
椎原 良典 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90466855)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハイエントロピー合金 / 電荷移動 / 体積変化 / 原子応力 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに,fcc型ランダム合金(CrMnFeCoNiのサブセット)では先行研究と同様に電荷移動,bcc型ランダム合金(VNbMoTaWのサブセット)ではバルクからの体積変化がその支配的要因であることを確認している.しかし,fcc型であっても体積変化が,また,bcc型では電荷移動が原子圧力を左右することはあり得る.今年度研究では原子圧力の支配要因を更に調査するため,データ解析手法であるランダムフォレストを適用した.また,CrMnFeCoNi合金にアルミニウム原子を添加した計算を実施した.その結果をデータ解析により得られた知見から解釈した. fcc系合金,bcc系合金における原子圧力をランダムフォレストにより回帰した.原子電荷と原子体積はそれぞれMulliken電荷解析とVoronoi解析により評価した.その結果,fcc合金・bcc合金の両者について良好な精度で原子応力を回帰することができた.さらに,その結果から特徴量の重要度を評価したところ,fcc合金の原子応力は電荷移動,bcc合金でのそれは体積変化が支配的な決定因子であることが明らかになった.ただし,bcc合金でのバナジウムのケースのように,原子圧力場には電荷と体積の両者が同時に影響するケースも確認された. CrMnFeCoNi合金にアルミニウム原子を添加した系の原子圧力を評価したところ,Alで大きな原子応力が見られた.CrMnFeCoNi合金の構成元素はバルクにおける原子体積がほぼ同じである一方で,電気陰性度が異なる.このことが,電荷移動が原子圧力場の支配因子となっている理由である.一方で,アルミニウムはこれらの元素に比して原子体積が大きい.合金内部でアルミニウムは大きく圧縮されていることから,この場合は体積が支配因子であると言える.この結果は,アルミニウムの含有による降伏応力の上昇を観測した実験結果に合致している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原子圧力場をデータ解析により回帰し,そこでの議論を添加元素が誘起する応力場の議論に援用した.ここで得られた知見に立脚して,添加元素を含む他の合金系の計算を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
短距離秩序が誘起する原子応力場について検討する.共同研究者からCrMnFeCoNi合金におけるランダム構造,短距離秩序構造を得ているため,そこでの原子応力の分散を評価し,溶質原子無しのケースでの短距離秩序構造による原子応力の変化を明らかにする.また,Siを含むCrMnFeCoNi合金における原子応力を評価し,溶質原子による応力状態の変化を解明する.
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