2021 Fiscal Year Annual Research Report
CdTe半導体検出器を用いたアルファ線放出核種At-211の生体内イメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Toward new frontiers : Encounter and synergy of state-of-the-art astronomical detectors and exotic quantum beams |
Project/Area Number |
21H00163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桂川 美穂 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (70845271)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CdTe半導体検出器 / 生体内イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
アルファ線放出核種で標識された薬剤を用いてがんを治療するアルファ線治療は、難治性がんの新しい治療法として近年注目を集めている。アルファ線放出核種の一つであるAt-211は、アルファ線だけでなくX線を放出するため診断と治療の同時実施が可能であり、実用化への期待も高い。しかし、アルファ線放出核種は他の放射性プローブと比べて生体内に投与できる量が限られているため、検出器の感度向上が求められている。本研究は、計画研究C01班で開発が進められているテルル化カドミウム半導体素子を応用し、小動物生体内のAt-211を可視化するための高感度X線検出器の開発を目的としている。 2021年度は、CdTe半導体検出器と3Dプリンタ技術で造形されたタングステン製コリメータを用いた試作機の性能評価を進めた。最新の金属3Dプリンタ技術を用いることでタングステンの造形が可能となり、従来の鉛製のコリメータよりも開口面積が大きく、コリメータ効率を向上させることができた。まずは、密封線源を用いてエネルギー分解能や空間分解能など撮像装置の基本性能を調べ、非密封線源を用いて小動物の臓器の大きさを想定した場合の一様性や定量性、検出感度の検証をおこなった。その結果、生体内撮像に十分な性能を持つことを確認することができた。さらに、At-211から放出される79keVのX線に対して撮像能力を向上させるため、2mm厚の厚型CdTe検出器の製作とコリメータの最適化をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CdTe半導体検出器の試作品の性能評価を行い、我々の装置が小動物の薬物動態の可視化に十分な性能を持っていることを確認することができた。予定通り厚型のCdTe半導体検出器の開発も進み、次年度には改良した装置を用いた実証実験を行う見込みを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに製作したCdTe半導体検出器の性能評価を進める。まずは、密封線源を用いて検出器のエネルギー校正を行い、エネルギー分解能や空間分解能、一様性の評価を行う。in vivo実験では、小動物を用いて撮像を行い、At-211の分布を定量的に撮像できるか検出器の有用性を検証する。
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