2021 Fiscal Year Annual Research Report
High resolution study of MeV gamma-ray flashes from lightning discharges using high-speed semiconductor imagers
Publicly Offered Research
Project Area | Toward new frontiers : Encounter and synergy of state-of-the-art astronomical detectors and exotic quantum beams |
Project/Area Number |
21H00166
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中澤 知洋 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (50342621)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 雷ガンマ線 / シリコンプクセル検出器 / 電子飛跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
雷活動に伴って観測されるMeVガンマ線は、自然界で唯一知られている電子が大規模に静電場加速を受けている直接証拠である。雷ガンマ線フラッシュ現象では、30 MeVに達するガンマ線が1uGyという大強度で 100 usの短時間に地上に照射される。加速の原理のモデルはあるが、増幅率が決定的に不足するなどまだ理解には遠い。最新の理論では、加速器から100 m 以内では最大1Gyにも達する極めて大強度となる可能性が指摘されており、「どこでどれだけの電子加速が起きているか」を知ることは学術的価値に加えて、防雷や被曝の観点からも解明が必要である。 本研究の目的は雷ガンマ線フラッシュを撮像してその空間位置を知るための、新技術を開発することである。通常のガンマ線シンチレータ検出器では、この瞬間的大強度の信号は飽和してしまい、ましてや指向性を得ることも難しい。そこでピクセル型半導体timepix3を用いた3D電子飛跡計測によって、ガンマ線が産むコンプトン反跳電子や対生成電子の指向性を測定する新しいアプリケーションの実証を目指している。 2021年度はtimepix3を1台購入して基本動作を確認したのち、中性子施設KUANSで0.1-8 MeVの帯域で近似的に雷ガンマ線のスペクトルに似せたガンマ線を入射させた。コンプトン反跳電子や対生成電子の電子飛跡を多数捉え、統計処理は必要であるが、ガンマ線入射方向を計測できることを確認した。並行して、2022年度にtimepix検出器の設置を予定している、金沢市内の我々の観測小屋で、既存の指向性のない検出器での観測を続けたており、12/30に明るい雷ガンマ線フラッシュが6連続で放射されるのを、2つの検出小屋から同時検出することに成功した。将来ここでtimepix3検出器を設置すれば、雷ガンマ線フラッシュの位置決定が期待できる成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Timepix3を実際に動作させ、数MeVのガンマ線を照射させて、指向性を持つことを実証すること、および冬季雷の観測を進め、Timepix3を設置できる環境での雷ガンマ線フラッシュ観測が実現できることを示すことが2021年度の目標であった。予定していたニュースバルの放射線施設におけるMeVガンマ線発生ラインの一般供用が中止されたため、中性子施設を用いて、熱的中性子が周辺物質に吸収されるときに発生する即発ガンマ線を用いるプランに変更した。関連研究者と調整を進め、京都大学KUANSにて実験できることを確認し、実証実験を行った。その結果、上記に示したような指向性の検証に成功している。また冬季雷観測の推進でも2021年度の冬季観測を実施し、雷ガンマ線フラッシュの実測に成功した。外的環境の変化に柔軟に対応して実証すべきことを実証できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2台目のtimepix3を購入し、中性子施設KUANSでの2台同時稼働で、3次元的な位置決定の実証を行う。また、冬季雷の観測を実現するために、超小型linuxPC ラズベリーパイの遠隔操作で運用できる体制を構築し、2022年度の冬季雷観測の中で、1ヶ月以上の試験観測を実現して、実際の観測能力を実証する。今後、継続的に雷ガンマ線フラッシュの撮像観測を進める体制を確立させる。申請時から述べている通り、冬季の金沢における1地点あたりの雷ガンマ線フラッシュ観測頻度は概ね2-3年に一回であり、2-3年の継続的な観測でその撮像を実現できる。
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Research Products
(1 results)