2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a particle identification detector for measuring high-momentum hadron beam reactions
Publicly Offered Research
Project Area | Toward new frontiers : Encounter and synergy of state-of-the-art astronomical detectors and exotic quantum beams |
Project/Area Number |
21H00167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白鳥 昂太郎 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (70610294)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リングイメージングチェレンコフ検出器 / MPPC / 荷電粒子識別技術 / コーン型集光器 |
Outline of Annual Research Achievements |
J-PARCハドロン実験施設では、2020年に完成したJ-PARC高運動量ビームラインにおいて、生成標的の設置により20 GeV/cまでの二次粒子ビームを取り出せる高運動量二次粒子ビームは世界的にユニークであり、特徴あるハドロンやハイパー核の研究を推進でき、特に主要な研究としてチャームバリオン分光実験が提案されている。高運動量ハドロンビーム反応では、生成した散乱粒子も高運動量を持つため、粒子識別において飛行時間測定やチェレンコフ光発生の有無を利用する閾値型の測定に代わる検出器技術が必要である。高運動量粒子の識別が可能なリングイメージングチェレンコフ検出器(RICH)を導入し、チャームバリオン分光実験のみならず、高運動量ハドロンビーム反応を利用した多彩な実験研究を推進する汎用スペクトロメータを建設する。本研究では、高運動量ハドロンビーム反応から生成される高運動量粒子識別を行うためのRICHを開発し、検出器技術を確立する。散乱粒子の広い運動量領域を高感度で測定するため、チェレンコフ輻射体としてエアロゲルとガスを使用したハイブリッド型のRICHを開発する。光センサーには磁気スペクトロメータの漏れ磁場があるため、Micro Pixel Photon Counter (MPPC)を使用する。MPPCの小さい受光面積を補う集光装置を開発し、RICHとしては新しい検出器構成要素の利用を実現する。本年度は、RICH実証機について、各種検出器要素のデザインをシミュレーション等によって行い、輻射体であるシリカエアロゲルや発生したチェレンコフ光を集光する球面反射鏡の製作と光センサーに用いるMPPCの購入を行った。特に集光装置として、コーン型の集光器のデザインをシミュレーションによって行い、製作方法の検討を行った。次年度で実施予定のRICH実証機を用いた実証実験への準備作業を遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ICH検出器の測定器技術確立のため、RICH実証機の検出器要素のデザインや製作を行った。高透明度のシリカエアロゲル(屈折率1.04)や球面反射鏡(曲率半径3 m)の製作を業者に依頼して行った。RICH実証機にて最重要検出器要素である集光器のデザインを行い製作方法について業者と検討を行った。RICH実証機で使用する光センサーであるMPPCは、その小さい受光面積を補う必要がある。コーン型の集光器のデザインをシミュレーションによって行い、RICH実証機で検証を行う実機デザイン時に決定した開口部が50 mmのものと、比較用の30 mmのものの製作方法を検討した。当初の製作方法としては、コーン型の集光部分を製作して内面を磨き、アルミニウム膜を蒸着する方法を検討したが、開口部50 mmと30 mmでコーンの深さが120 mmと33 mmとなるため、コーン深部までの均一な蒸着が困難な点が分かった。蒸着方法として、コーンを半分に切断したのちにアルミニウム膜を蒸着し、コーン型に接着する方法も検討したが、コーン型の円形の形状が保てないことが分かった。コーンの円形からのずれは、多数のコーンを並べたときにコーン位置のずれを増大させるため、チェレンコフ光からのリングイメージ測定の精度を大幅に悪化させてしまう。これらの当初予期していなかったアルミニウム膜の蒸着の問題が分かったため、アクリルの部材を削り出すことでコーン形状を整形し、その中に内径に合わせたアルミナイズドマイラー(0.025mm厚)を設置することで、簡易かつ比較的安価な方法でコーン型の集光器を製作する方法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
RICH実証機にて最重要検出器要素である集光器の製作方法を当初予定していたアルミニウム膜を蒸着する方法から、アクリルの部材を削り出すことでコーン形状を整形し、その中に内径に合わせたアルミナイズドマイラー(0.025mm厚)を設置することで、簡易かつ比較的安価な方法でコーン型の集光器を製作する方法へと方針を転換した。この方法によって、円形の形状が精度良く保たれたコーンを製作でき、その中に内径に合わせたアルミナイズドマイラーを使用することで、安価な方法でコーン型の集光器を製作できることが分かった。このコーン型の集光器とシリカエアロゲル、球面反射鏡の検出器要素を組み合わせることで、RICH実証機の製作を行う。次年度に実施予定の東北大学電子光理学研究センターにおける実証実験によって、RICH実証機の性能評価を行う。実証実験では、数100 MeVの陽電子ビームをシリカエアロゲルに照射したい際に発生するチェレンコフ光を球面反射鏡にて、光センサーを並べた検出面に集光する。この検出面は製作方法を確立したコーン型の集光器とMPPCを組み合わせたユニットを並べることで構成する。RICH実証機におけるチェレンコフリングイメージの測定精度やコーン型の集光器の性能を実証実験で評価し、リングイメージングチェレンコフ検出器の測定器技術を確立する。
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[Presentation] リングイメージングチェレンコフ検出器における光学系の設計と性能評価2022
Author(s)
徳田恵, 阪口篤志, 白鳥昂太郎, 野海博之, 石川貴嗣, 田端誠, 戸田匡哉, 木村祐太, 辰巳凌平, 山本勇次, 他J-PARC E50コラボレーション
Organizer
日本物理学会第77回年次大会, 15pA123-5, オンライン開催
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[Presentation] チャームバリオン分光実験に用いるリングイメージングチェレンコフ(RICH)検出器のデザインとテスト機の性能評価2022
Author(s)
戸田匡哉, 阪口篤志, 白鳥昂太郎, 野海博之, 石川貴嗣, 田端誠, 徳田恵, 木村祐太, 辰巳凌平, 山本勇次, 他J-PARC E50コラボレーション
Organizer
日本物理学会第77回年次大会, 15pA123-6, オンライン開催
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