2021 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビームを用いた高エネルギー光渦生成の基礎的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Toward new frontiers : Encounter and synergy of state-of-the-art astronomical detectors and exotic quantum beams |
Project/Area Number |
21H00168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 実 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (70273729)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光渦 / ガンマファクトリー / 水素様重イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ガンマ線領域での光渦の生成原理について理論的研究を行った。超相対論的なエネルギーに加速された重イオンを一種のエネルギー変換器として用いて、可視光レーザーをガンマ線に変換するガンマファクトリーのアイデアを利用する。加速された重イオンから可視光領域のレーザー光を見ると、青方偏移でより高い振動数(エネルギー)の光に見え、これを重イオンの電子励起エネルギーに一致するようにレーザーの波長および重イオンの運動エネルギーを選ぶことで、効率的に重イオンを励起できる。励起状態からの脱励起の際に、光子が重イオンの進行方向に放出されると、実験室系でのエネルギーは、さらに青方偏移する。重イオンの種類、その運動エネルギー、励起状態を適切に選ぶことにより、最終的にガンマ線が得られる。 本年度は加速された水素様重イオンを可視光領域光渦レーザーで基底状態から大きな角運動量の状態に励起する方法について研究を行った。この励起状態の電気4重極遷移による基底状態への脱励起の際にガンマ線光渦が生成される。通常の光渦でないレーザーではこの様な1光子励起は不可能であり、本研究では光渦ビームの1つであるベッセルビームを用いることを想定して、励起率、ガンマ線光渦生成率および背景事象についての理論的計算を行った。 また、加速されたヘリウム様重イオンを2つの通常の(光渦でない)可視光領域レーザーで、stimulated Raman adiabatic passage (STIRAP)より、基底状態からJ=2の状態へ励起する方法についても検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディラック方程式を水素様重イオンに適用して、そのスペクトル、多重極行列要素、遷移率の解析的表式を求めた。これをもとにネオンおよび鉛イオンについて、数値計算を行い、シグナルおよびバックグラウンドを評価した。 これは想定通りの手順で、水素様重イオンについて十分な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘリウム様重イオンについての研究を進める。
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