2021 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムコピー数変異データに基づく精神疾患病態の多階層的理解
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
21H00194
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久島 周 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00732645)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | gene ontology / chromatin modification |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの多数の疫学研究から、双極性障害(BD)、統合失調症(SCZ)、自閉スペクトラム症(ASD)の3疾患の間には遺伝要因のオーバーラップが存在することが示唆されている。この点をゲノムデータから検討するために、ゲノムコピー数バリアント(CNV)データに基づいて、3疾患の病態パスウェイを検出し、疾患間での比較を実施した。 BD、SCZ、ASD患者および健常者を合わせて8700例について、高解像度アレイCGHを用いた全ゲノムCNV解析を完了した。得られたCNVデータにquality controlを行ったうえで、頻度が1%以下の稀なCNVを得た。Gene ontology(GO)の遺伝子セット(遺伝子数が150-500個の遺伝子セットに限定)を用いて、健常者CNVと比較して、患者CNVが集積する遺伝子セットを、ロジスティック回帰モデルを用いて検討した。解析は、欠失、重複、欠失+重複の3パターンで解析した。その結果、BD、SCZ、ASDで有意な遺伝子セットを、各々、1、352、100個同定した。有意な遺伝子セットは生物学的機能に基づいて、13の生物学的パスウェイに分類された。SCZとASDは多くのパスウェイ(Synapse & Neuronal cell adhesion、DNA/chromatin integrity、Cell cycle regulation、Transcriptional regulation、Small GTPase signaling、Oxidative stress response、Cell growth & Organ developmentなど)が共通していることを見出した。一方、BDでは、唯一chromatin modification(SCZとASDでも有意に関連)の関連を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BD、SCZ、ASDの3疾患について、大規模なCNVデータをもとにGO解析を行い、各疾患の病態パスウェイを網羅的に同定することができた。その結果から、シナプス機能、DNA安定性、酸化ストレス応答を含め、ASDとSCZの病態には大きなオーバーラップがあることを確認した。BDでは、クロマチン修飾を唯一の病態パスウェイとして同定した。以上の結果をふまえて、予定通り順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
BD、SCZ、ASDの3疾患の病態の類似性を定量的に評価するために、前年度までに得たGOの遺伝子セット解析の結果をもとに相関解析を行う予定である。加えて、GO以外のゲノム機能情報(KEGGやSynGO等)を用いて、3疾患に関連した病態パスウェイをより詳細に検討する。
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Research Products
(5 results)