2021 Fiscal Year Annual Research Report
fMRIーEEG情報統合による全脳網羅的ストレス適応回路の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
21H00211
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 言也 高知工科大学, 総合研究所, 助教 (90637133)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ストレス / レジリエンス / fMRI / EEG |
Outline of Annual Research Achievements |
大きなストレスを体験し一時的に鬱的状況に陥っても、ヒトは時間と共に適応回復し、健康的状態に戻ることができる。本研究はストレスからの適応・回復能力であるレジリエンスを司る脳内ネットワークを、ヒトfMRI(機能的磁気共鳴画像法)とEEG(脳波)の同時計測を用いた網羅的探索によって明らかにする。 2021年度は約100名分のfMRIとEEGの同時計測データを取得し、解析を行った。fMRI の結果については①島葉を中心とするネットワークがストレス経験後、レジリエンスの低いヒトたちで特に上昇すること、②背側帯状皮質を中心とするネットワークはストレス経験後、レジリエンスの高いヒトたちで上昇することを発見した。一方でEEGについては、ストレス経験後に後頭葉と前頭葉において、Beta周波数帯域の強度が、レジリエンスの低いヒトたちで上昇していることを発見した。これらの特徴は未だヒトレジリエンス研究にて報告されていない、新発見した脳活動である。 加えて、レジリエンスとパーソナリティ、そしてコロナ禍の緊急事態宣言期における変動性に関するアンケート調査を行ない、心理学的なレジリエンスの特徴を検証した。その結果レジリエンスの個人差は、コロナ禍のような慢性的なストレス環境でも、鬱傾向や慢性ストレス傾向などと比較して、変動性の少ない安定したパーソナリティであることが明らかとなった。 これらの結果の一部の内容については国内の2つの学会にて発表することができ、先生方から様々なご意見をいただくことができた。加えて、ストレスレジリエンスの神経生理学的基盤に関する総説論文を執筆し、出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、およそ100名分のストレス負荷前後のfMRIとEEGの同時計測データを取得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、fMRIとEEGそれぞれについてレジリエンスの個人差に一致した特徴を見つけるだけでなく、両脳機能データを統合することで、従来のヒトストレス研究の手法では検証できなかった、レジリエンスに関わる特徴を発見する。一部の結果については、再現性を確認するために、新たな機材を購入し、実験を行う。また、国内外の学会での発表、英語論文の投稿を目指す。
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