2021 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analysis of neocortical circuit abnormality contributing to ASD pathology
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
21H00215
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山下 貴之 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40466321)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / ASD / 体性感覚 / 異顆粒帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)の重症度と触覚反応異常には高い相関が認められる。しかしながら、ASDを特徴づける社会性行動の異常と触覚反応の異常との関係は明確でない。触覚中枢である大脳皮質一次体性感覚野(S1)は異顆粒帯(DGZ)への強い軸索投射を持ち、さらにDGZ は社会性行動に重要な部位であることから、DGZが触覚知覚異常を社会性行動異常につなげる神経基盤である可能性がある。そこで、本研究では、マウス個体同士の接触であるソーシャルタッチ情報がS1→DGZ 経路によりどのように表現されるかを探り、そのASD 病態における異常を検討することを目標としている。本年度は、イントリンジックイメージングによりDGZを同定する方法の開発と、頭部固定マウスと刺激マウスを用いたソーシャルタッチ実験系の確立を行った。すでにDGZやS1からシリコンプローブ記録を開始しており、ソーシャルタッチおよびマウス同士の位置関係に相関するDGZ細胞が見出され始めている。特に、マウス同士の位置関係により発火頻度が変化する細胞はDGZにおいて報告がないため、引き続き観察数を増やして実態を確かめる必要がある。また、ADS病態モデルマウスとして、Poly(I:C)を用いた母体炎症モデルマウスの作成を開始した。学内専門家(毛利彰宏博士)のアドバイスを得て、ルーティンに母体炎症モデルを作成できるようになり、ビー玉覆い隠し行動や新規物体認識テストにより仔の自閉症様表現型を確認した。 また、本研究に関連して、マウス同士のコミュニケーションに重要な役割を果たすと考えられるマウスの表情についての研究を行い、一次運動野に報酬に関連した表情変化をエンコードするニューロンがあることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り実験系が確立し、DGZからのシリコンプローブ記録によって、これまでに知られていない発火特性を持つ細胞が見つかっている。そのため、本研究は当初の予想を超えるインパクトを生む可能性がある。他方、病態モデルマウスの作成では、当初経験不足によりマウスの妊娠確認ができず、予定よりやや遅れたと言える。しかし、毛利彰宏博士からのアドバイスを得て、現在ではルーティンに母体炎症モデルマウスが作成できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に立ち上げた実験系を用いて、さらにシリコンプローブ記録を進めてDGZおよびS1からのデータ収集を行い、情報表象の推定とデコーディングを行う。また、ASDモデルマウスについては定期的にモデルマウスを供給できるよう作業のルーティン化を進めながら、モデルマウスからの記録を進め、対照群との比較を完了する。
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Research Products
(3 results)