2021 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on mechanisms of age-dependent disappearance of mutant mitochondrial DNA from germ line cells
Publicly Offered Research
Project Area | Ensuring integrity in gametogenesis |
Project/Area Number |
21H00225
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石川 香 筑波大学, 生命環境系, 助教 (40734827)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 変異型mtDNA / 卵胞 / 生殖系列 / 配偶子形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖系列からの変異型ミトコンドリアDNA(mtDNA)が消失するメカニズムを解明するために、本年度はまず「いつ」変異型mtDNAの消失が起きるのかを、2つの手法によって解析した。 1つは、組織学的解析である。様々な月齢の、様々な割合で変異型mtDNAを有するマウスの卵巣の組織切片を観察し、原子卵胞~成熟卵胞に至るまでの様々な発達段階の卵胞がどのくらいあるのかをカウントした。現時点では、すべての実験群について十分なn数を確保しきれていないものの、野生型マウスとmtDNA変異マウスの間で、特定のステージの卵胞が特異的に減少したり増加したりするという傾向は認められていない。 もう1つの手法は、単一卵胞における変異型mtDNAの割合の同定である。組織切片の解析と同様に様々な月齢の、様々な割合で変異型mtDNAを有するマウスの卵巣を採取し、酵素処理によって分散したものに、卵胞特異的マーカーに対する抗体染色を施し、Cell sorterを用いて単一卵胞ごとに分取した上で、その卵胞に含まれる変異型mtDNAの割合を同定するという手法である。本解析のために用いるCell sorterは本年度の第3四半期に導入され、下半期より解析を順次開始している。条件検討などを実施し、本年度末ごろより、本格的な解析を開始したため、現時点では明確な傾向を語れるほどの解析例に達していない。 上記のように、本年度は、組織学的解析と単一卵胞における変異型mtDNAの定量の2つの手法を用いて卵胞中の変異型mtDNAが雌個体の加齢に伴って「いつ」消失するのかを解明するための解析手段をそれぞれ確立し、具体的な検討を開始することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、単一卵胞における変異型mtDNAの定量の実験手法を、本年度の上半期中に九州大学の林克彦教授(現・大阪大学)の研究室にて教えていただく予定であったが、コロナウイルスの流行により出張の制限があり、実際に実験手法を習うことができたのは11月であった。このため、条件検討の開始が当初の予定よりも遅れてしまい、単一卵胞における変異型mtDNAの定量の実験はやや遅れている。 一方で、年度中に自研究室にてこの解析に供するためのCell sorterを入手できたことから、系の立ち上げ以降は比較的順調に本解析までこぎつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは組織学的解析と単一卵胞における変異型mtDNAの定量の両方の系を用いた解析を推進し、卵胞からの変異型mtDNAが消失するタイミングが「いつ」であるのかを特定したい。 同時に、「どのように」消失するのかを解明するために、細胞死の検出などの新しい解析法を導入し、順次実施していく予定である。
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